マブンガは45分間のフル出場で46得点を記録
秋田ノーザンハピネッツvs富山グラウジーズの水曜ナイトゲームは、延長までもつれた末に108-101で富山が勝利した。これで富山は今シーズンの秋田戦を4戦全勝とした。
富山は46得点を挙げたジュリアン・マブンガを軸にオフェンスを展開する。マブンガが自らドライブで得点を重ねると、続くポゼッションではディフェンスを引き寄せて味方のシュートチャンスを作り出す。他のメンバーもオフボールで動き回ってディフェンスを引き寄せることで、スペースを作り出していった。マブンガの得点が目立ったが、宇都直輝のペイントアタックや松脇圭志の3ポイントシュート、ジョシュア・スミスのディフェンスリバウンドからのトランジションバスケに水戸健史のボールプッシュなど、チーム全員で攻めた富山がリードを奪う。
それでも前半は強度が高い秋田のディフェンスを前に、自分たちのターンオーバーから19得点を秋田に献上してしまい、さらに秋田のホームのパワーもあってかフリースローが12本中5本しか決まらなかったこともあり、47-40で前半を終えた。
前半は大きく突き放すことができなかったものの、オフェンス力に長けた選手が多い富山は攻めのパターンも多く、外と中からバランス良く得点しリードを広げていった。しかし、68-56で迎えた第3クォーターの残り2分10秒、ここまで7得点15リバウンド4アシストを挙げていたインサイドの要であるスミスがダブルテクニカルファウルにより退場することに。
これにより富山はインサイドでのアドバンテージを失ったことで、秋田のアレックス・デイビスとハビエル・カーターを抑えることができずペイントエリアからの失点が続いた。それでも、スミスに代わって入った橋本晃佑の3ポイントシュートなどでリードを維持したものの、ディフェンスリバウンドからのトランジションが出せなくなった富山は、第4クォーターの開始5分間を5-13と圧倒され、オフィシャルタイムアウトを78-78の同点で迎えた。
オフィシャルタイムアウト明け、富山はゾーンディフェンスを敷くことでインサイドからの失点を防いでいく。その後は橋本の3ポイントシュートやマブンガのドライブからのバスケット・カウントによる3点プレーで突き放したが、秋田のベテラン、古川孝敏に立て続けに3ポイントシュートを許し、90-90で延長戦へ。
延長戦に入っても残り2分を切った時点で98-97と拮抗する。しかし、ここに来て富山が違いを見せる。ディフェンスでは全員でハードワークすることで、デイビスから3秒バイオレーションを奪うなど奮闘する。それに加えて、オフェンスではそれぞれが持ち前の得点力を発揮。マブンガが積極的なアタックでバスケット・カウントをもぎ取ると、松脇圭志もドライブで得点し、さらには岡田の3ポイントシュートもあり、残り32秒の時点で106-97と突き放してリードを守り切った。
前田ヘッドコーチ「富山さんのオフェンスを止められなかった」
スミスが退場して以降は拮抗した戦いとなったが、勝ちきった理由を浜口炎ヘッドコーチはこう語った。「マブンガだけになると秋田さんも守りやすくなってしまいますが、ボールもよく動いていましたし、岡田や橋本だったりとマブンガ以外の選手も点が取れていたので勝ちに繋がりました」
浜口ヘッドコーチが言うように、マブンガは46得点と大活躍だったが、前田が12得点、宇都が11得点、岡田が10得点、橋本が3ポイントシュート4本中3本成功の9得点と、ここぞの場面での日本人選手の得点がゲームを左右した。
また、オフェンスだけでなく、富山はゾーンディフェンスを敷くことで『オン1』の時間帯もチーム全員で守り切った。浜口ヘッドコーチは「マンツーマンの時には守れなかったインサイドの部分が、ゾーンでは守れていたので機能していたと思います」と言うと、大黒柱が抜けた状態でも戦い抜いたチームの手応えを語った。
「基本的にはマブンガとジョシュがいれば、そのまま40分でもフルでコートに立たせる考えですが、こういうアクシデントがあって彼がいない状態でも、今日のようなパフォーマンスができることを選手たちが証明しました。これからはマブンガやジョシュもベンチに下がって、少し休ませられる時間ができるんじゃないかなと感じました」
一方、敗れた秋田の前田顕蔵ヘッドコーチは、「試合を通して富山さんのオフェンスを止められなかったことに限ります」と振り返った。
「スミス選手が退場するまでは、ずっと富山さんの勢いと得点力を止められず失点が続きました。それでもあそこをきっかけに、延長戦まで持っていけたのは良かったです。でも、向こうが不利になった状態で勝たせてあげられなかったのは僕の責任です。富山のマブンガ選手、岡田選手、橋本選手のところを守ることができなくて、僕たちは延長戦でシュートを外してしまった。アドバンテージがあるインサイドで得点を取ろうとしたのが、逆に相手にとっては守りやすくなったのかなと、非常に悔しい敗戦でした」
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