琉球ゴールデンキングス

牧隼利「ここに自分が立っているのが不思議で異空間にいる感覚」

4月11日、琉球ゴールデンキングスは新本拠地となる沖縄アリーナでの柿落としとして『Our First Games』を実施した。本来なら新アリーナは4月10日、11日のシーホース三河戦が最初のイベントとなる予定だったが、三河の選手に新型コロナウイルスの陽性反応が検出されたことで中止となった。さらに翌週17日、18日の大阪エヴェッサ戦とのホームゲームも同様の理由で中止に。不可抗力とはいえ、ファンへのお披露目ができない状況を受けて急遽、実現の運びとなった。

この日は地元ミニバスや中学校の交流戦、キングスのU 18、U15による紅白戦が行われた後に、トップチームが登場。4選手による勝ち抜き形式の3ポイントシュートコンテストとゴールド、ネイビーに別れたキングスvsキングスの試合が行われた。

地元住民の福士厚生を第一とする体育館ではなく、スポーツやコンサートなどアリーナエンターテイメントのために作られた建物として多くの注目を集めている沖縄アリーナは、月並みな表現でいえばNBAのホームアリーナと遜色ない観戦体験を提供できる空間となっている。

琉球の選手はすでに何度か沖縄アリーナで練習を行なっているが、実際にお客さんを入れた状態でプレーしたのは今回が初めてだった。キャプテンの田代直希は、こう感想を語る。「形になっていない時からずっと『アリーナができますよ』と話しは聞いていたので、皆さんと同じでこの日をずっと待っていました。何よりやっている僕たちが楽しく、ドキドキしたり、ワクワクしました。今日、ここに来てくれたお客さんが同じ気持ちだったらうれしいです」

こう語った田代は、まだ自分自身も新しいホームに慣れていないと率直に明かす。「第一印象は全くホームという感じがしなかったです(笑)。本当に特別な場所にいる感覚で、違和感がありました。もし今日、三河戦が開催されていたら、いつも通りのプレーができなかったと思います」

この田代が抱いた思いは、牧隼利も同じだった。「いざお客さんがいると、また違う空間になっていて夢のような感じでした。緊張を通りこして楽しもうという気持ちでした。ここに自分が立っているのが不思議で異空間にいる感覚で、シンプルに鳥肌が立ちました。今日はリハーサルという意味でも良かったです」

琉球ゴールデンキングス

田代直希「8000人のお客さんをがっかりさせて帰る試合があってはならない」

地元出身の生え抜きである岸本隆一は、遂に誕生した待望の新アリーナへの第一印象を「『信じられない』が一番あっています」と語る。

「僕らが子供の時は、こういうアリーナでバスケをすることは本当に想像がつかなかったです。小学生の頃の自分に『こういう場所でプレーできるのだからもっと頑張れよ』と言いたいです。今の子供たちにとっても夢のある場所になっていくとすごく感じました」

また、誰よりもチーム在籍年数が長く、それこそ環境が整っていない頃を知る岸本だからこそ、次の思いも強く湧き上がっている。「体育館を転々としていた経験があったことを考えると、選手目線は充実しているだけでなく危機感も同時にあります。これだけ素晴らしいものを提供してもらっている以上、自分たちは良いパフォーマンスで返していくことしかできない。これからの楽しみと同じくらい危機感を瞬間的に感じました」

田代も「8000人のお客さんをがっかりさせて帰る試合があってはならないです」と語っており、琉球の選手たちは誰もがあこがれる環境でプレーできる喜びに加え、大きな責任を背負っていることを理解している。

お披露目イベントも終わり、次はいよいよリーグ公式戦が待たれる。現状は西地区優勝が濃厚で、ファイナルまでのホームコートアドバンテージを獲得できる。もちろん琉球が目指すのは、新アリーナで沖縄のファンと一緒にファイナル進出を祝うこと。

岸本はあらためて、そこへの意気込みを語る。「シーズンも終盤でここから一気にうまくなったり、飛躍したりすることはないと思います。今までやってきたことをいかに忠実に激しく出すことができるかにフォーカスしていく。チャンピオンシップはここで戦って、僕らも感じたことのない力を生み出せたらいいと思いますし、引き続きハードワークをしていきたいです」

琉球のホームゲームは、リーグ屈指の熱いファンにより他とは違う沖縄ならではの独特の雰囲気が作り出され、それが選手たちに大きな力を与え続けてきた。沖縄アリーナとキングスファンの融合で声を出せない中でも、どんな新たな熱狂が生み出せるのか。今後はその雰囲気を肌で味わうのが楽しみだ。