京都ハンナリーズ

小川伸也ヘッドコーチ「若さを言い訳にはできない」

今シーズンの京都は、外国籍選手が揃わないこともあって序盤は苦戦が続いたが、試合を重ねるごとにパフォーマンスを高めている。12月下旬には川崎ブレイブサンダースに敵地で連勝し、2月中旬にはリーグ最高勝率の宇都宮ブレックスに連敗するも、2試合いずれも終盤までもつれる激闘を繰り広げるなど、上位チームにも十分に対抗できる力を示した。

ただ、まだその力をコンスタントに発揮できないのが現状だ。滋賀レイクスターズと対戦した前節は、4月3日の初戦は第3クォーターで12-39と守備が崩壊して完敗を喫したが、4日はディフェンスを立て直し72-57で快勝した。

4日の試合後、京都の小川伸也ヘッドコーチは、「昨日ああいう負け方をした中で、選手たちがもう一回、自分たちが何を大事にしていることを理解して戦ってくれたのは良かった」と、チームの根幹であるディフェンス、リバウンド、ルーズボールでやるべきことを遂行できたと評価する。

「ホームでの勝率が悪いので、ホームで勝つとアウェーで勝つよりもホッとします」と安堵の表情を見せるが、一方で「正直、本当に波のあるチームだと思っています」とアップダウンの激しいチームの現状を深刻にとらえている。

「良い時はトップチームにも勝てるチャンスがありましたが、悪い時には下位チームにも大差で負けてしまう。そこへの危機感の方が強いですし、それは選手にも伝えています。アップダウンをなくさないと、これから先は勝っていけないです。悪い時はディフェンス、リバウンド、ルーズボールがブレて、オフェンスでやり返そうとする。それでタフショットを打って走られてしまう。それがディフェンスに影響して、簡単にスコアを取られてしまいます」

今シーズンの京都は、先発メンバーの寺嶋良、細川一輝など大卒1年目のルーキーが4人いる若いチームだ。しかし指揮官は、この点についても「若さを言い訳にはできない」と断言する。

「若いから許されるミスがあるわけではありません。世界に目を向けると、20代前半でトップリーグで活躍している選手は山ほどいますし、その中で見ると若くはないです。経験がないとか理由がありますが、マインドセットを変えていかないと、波はなくせないと思います」

石谷聡

ベテランの石谷聡「一喜一憂してはいけない」

波が激しくパフォーマンスが安定しない点について、指揮官も「プレー面だけでなく、いろいろな面でチームに影響を与えてくれる」と信頼を寄せるベテランの石谷聡はこう語る。

「一番はオフェンス、ディフェンスでも我慢することです。40分間でどれだけ良いディフェンスをしても60点から70点は取られるので、一つのポゼッションで一喜一憂するとオフェンスにも影響します。それがオフェンスでの悪いシュートから悪いディフェンスに繋がります。すべてのポゼッションは大事ですけど、それで一喜一憂してはいけない。個ではなく全員で40分間、ディフェンス、リバウンドをやれるかが、安定して戦うための鍵だと思います」

今の京都に、すでにチャンピオンシップ出場の可能性はない。また降格もないため、明確な目標は見いだしにくい状況ではある。プロの世界において、来シーズンも同じメンバーで戦うことは非現実的だが、そういった中でも残りの試合を一つずつしっかりしたテーマを持って戦い抜くことは必ず来シーズンの飛躍に向けた糧となる。

ヘッドコーチ1年目の若き指揮官の下、京都がこれからどんなプレーでシーズンを締めくくることができるのか。どんな試合でもファンのために勝利を目指すことは大前提だが、今の京都は勝利とともにチーム文化の土台をこの終盤戦で固めることが求められる。