「セカンドユニットにかなり自信を持っている」
4月4日、宇都宮ブレックスは名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの第2戦に80-61で勝利し、チャンピオンシップ進出一番乗りを決めた。
この試合、宇都宮は第1戦で負傷した遠藤祐亮がベンチ外となった。代わりに先発を務めた渡邉裕規は25-4と勝負を分けた第3クォーターにすべてのシュートを成功させて7得点を固めるなど、貴重な働きを見せた。渡邉はこのように試合を振り返る。
「前半はうまくボールが回らずターンオーバーに繋がりました。後半はアジャストし、ボールを回して、流れるようなオフェンスができました。良いディフェンスをした後にリバウンドが取れていたので、かなりインサイド陣が頑張ってくれた印象があります。相手の単発のオフェンスをファストブレイクに持って行けたのは良かったです」
今シーズン5試合目の先発起用に「ひたすら疲れました」と語った渡邉だが、以前から自身の起用法にこだわりはない。それはチームスタイルが文字通りの全員バスケを信条とし、それぞれに与えられた役割があることを熟知しているからだ。
「スタメンに特別な思いはないです。自分が言うのもなんですが、ウチのチームはセカンドユニットにかなり自信を持っているので。それがスタイルですし、『 誰が出ても』というのはあります。新しく来た選手にもブレックスがどういうチームかということは浸透してきています」
昨今のBリーグではタイムシェアを掲げるチームは少なくない。しかし、先発と控えに戦力差があるチームであればあるほど、その実現は難しい。宇都宮はライアン・ロシターの平均24.4分が最長で、11人が10分以上のプレータイムを得ており、タイムシェアに成功しているチームの一つだ。渡邉もそれを強調する。
「みんながチームの勝ちのためにあり、チームとして勝ちにこだわっています。それはどのチームにもできることではないと僕は思います。そのメンタリティが全員の共通認識としてあることが、今のブレックスの強みだと思っています」
「去年果たせなかったカンファレンス1位を目指します」
先述の通り、宇都宮はチャンピオンシップ進出を決めた。一つの目標を達成すると成功体験に浸り、隙が生じることもあるはずだ。しかし、宇都宮にとってチャンピオンシップ進出はあくまで通過点に過ぎず、そこで満足するつもりは毛頭ない。
「過去の話をするのもなんですが、初代チャンピオンになった時の道のりはかなりホームゲームに助けられました。ほぼ逆転で行きましたし、ファンの後押しが大きかったです。その重要性はチャンピオンになったからこそ分かったことでした。ファンの方々もそれを求めていると思いますし、ホームでやることの重要性は分かっています」
『ホームコートアドバンテージ』という言葉があるように、自チームのファンで埋まるホームで試合を行うことは有利に作用することが多い。リーグ戦以上に精神を疲弊し、負けられない戦いが続くチャンピオンシップではなおさらだ。
現在、宇都宮は41勝9敗でリーグ1位の成績を残している。西地区首位の琉球ゴールデンキングスとは3ゲーム差、東地区2位の千葉ジェッツとは4.5ゲーム差の開きがある。彼らとの直接対決はないが、チャンピオンシップ出場圏内にいる富山グラウジーズや川崎ブレイブサンダースとの対戦は残っており、そこで連敗するようであれば、リーグ全体1位の座から陥落する可能性がないわけではない。
それでも、「どういう試合をしたら負けるのか、強い相手に勝てるのかは分かっています。昨シーズンに果たせなかったカンファレンス1位を目指します」と言う渡邉に一切慢心は見られない。2度目のリーグ制覇を実現するためにも、宇都宮は前だけを見つめて走り続ける。