「皆さんが称えてくださるのは、私が19年間携わってきたから」
3月28日、シーホース三河は桜木ジェイアールの引退セレモニーを実施した。本来であれば大阪エヴェッサとの試合と一緒に行われるはずだったが、チーム内に新型コロナウイルスの感染者が出たことで試合は中止に。セレモニーだけが行われたが、それでも多くのファンがウイングアリーナ刈谷へと足を運び、その労をねぎらった。
2001年にアイシン精機バスケ部に加入するために来日したジェイアール・ヘンダーソンは、2007年に日本国籍を取得して桜木ジェイアールとなった。常勝チームのアイシンで数多くのタイトル獲得に貢献した後、2016年のBリーグの時代を迎えるにあたってアイシンからシーホース三河と名前を変えたチームにあって、変わらぬプロフェッショナル精神、勝利にこだわるメンタリティを発揮し続けた。
チームは参加できなかったが、幸いにも三河でのキャリアを通じてヘッドコーチを務めた鈴木貴美一は濃厚接触者にあたらなかったため、この場に来ることができた。ゲストとしてアイシン時代にともに切磋琢磨した外山英明、佐古賢一、佐藤信長のレジェンドが集まり、旧交を温めた。また後藤正規、小宮邦夫、朝山正悟、比江島慎、ギャビン・エドワーズ、橋本竜馬など多くの元チームメートがビデオメッセージでジェイアールとプレーできた喜びと思い出を語っている。
愛する家族と並んで立ったジェイアールは、次のような最後の挨拶をしている。
「このような形でねぎらっていただけるのは、私個人よりももっと大きなこと、三河というチーム、勝つという伝統そのものに対してだと思います。ですがそれは、後ろにいる、またスクリーンで見てもらった素晴らしいプレーヤーがいてこそのものでした。そして何年もの間、今のチームを作り上げるために多くの人がたくさんの努力をしてきました。今日皆さんが称えてくださるのは、私がそれに19年間携わってきたからです」
そのジェイアールは、コーチとしてのセカンドキャリアをすでに歩み始めている。昨年6月に現役引退を発表してすぐに、Wリーグのアイシン・エィ・ダブリュ ウィングスのテクニカルアドバイザーに就任。それ以前から彼自身が「三河でも最後の5シーズンはチームメートにいろいろと教えていて、役割に大きな変化はありません」と語っているように、指導者としての意識は常にあった。
いずれ、シーホース三河を彼が率いる未来が実現するのかもしれない。誰よりもシーホース三河というチームに愛着を持ち、『勝つという伝統』を大事にする彼であれば、そのチャンスを逃すことはないはずだ。
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