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「シャックの存在はビッグ3よりも大きかった」

フランチャイズを代表する選手とは、そのチームを背負い、地域を代表し、ファンの期待に応え、チームを盛り立てていく存在を指す。近年では、20年間レイカーズ一筋を通したコービー・ブライアントが最たる例だろう。

しかし、短期間の所属であっても強い影響を残す選手もいる。これまでNBA優勝3回を誇るヒートの球団社長パット・ライリーは、90年代後半から2000年代前半にかけてチームを引っ張ったアロンゾ・モーニングでも、ビッグ3でもなく、「シャキール・オニールこそチームを変えた選手だ」と言う。

オニールは、レイカーズ時代の2000年からコービーと3連覇を果たしたが、両者の関係は修復不可能なところまで悪化していた。スリーピート達成後、コービーが球団側に、「オレか、シャックか」と迫ったエピソードは有名だ。結果、オニールは2004年に東カンファレンスのヒートへと移籍した。

当時ヒートのヘッドコーチだったライリーは、生え抜きのドウェイン・ウェイドにオニールを組み合わせて軸とするチーム作りを行い、2006年に球団初優勝を達成。ライリーは、優勝経験豊富な当時の最強センターがチームに与えた影響について、「シャキールの獲得がすべてを変えた」と、『Sun Sentinel』に語った。

「ビッグ3(ジェームズ、ウェイド、ボッシュ)は、あの当時の情勢に合致したので良かった。クリスとレブロンは前に所属していたチームで負けることにうんざりしていた。うちにはドウェインという強力な選手がいて、マイアミも魅力的だった。彼ら2人は新天地を求めていて、我々には彼らを獲得するだけの資金があった」

「だが、チームを真の強豪に押し上げ、市場での価値を高め、優勝の可能性をもたらしてくれたのは、シャキールだった。彼の獲得がすべてを変えた。シャックはビッグ3を含む過去に獲得した選手の中で最も大きな影響をもたらした」

現地9月9日、オニールは、モーニング、ゲイリー・ペイトンに次いでヒート史上3人目のバスケットボール殿堂入りを果たす。ヘッドコーチとしてNBA史上4位の通算1210勝を挙げた名将ライリーは、一目置いているオニールに敬意を払い、賛辞を送った。

「彼がチームに転換期をもたらし、『本物』に変えてくれたんだ」

シャックが現役引退を表明した2011年春、プレーオフを戦っていたヒートは試合前にその功績を称える演出を行い、リスペクトを示した。