35歳で全盛期は過ぎても『プレーオフ・ロンド』は健在
クリッパーズはホークスとのトレードでラジョン・ロンドの獲得に成功した。ホークスにはルー・ウィリアムズと2枠の2巡目指名権、さらに現金が譲渡される。ロンドは今シーズン開幕前にホークスと複数年契約を結んだばかりだったが、彼の獲得を望んだ指揮官ロイド・ピアースが解任されたことで、早々に退団することになった。
ロンドは35歳で、14.9分のプレータイムに3.9得点、3.5アシストはいずれもキャリア最低の数字。選手としての全盛期はすでに過ぎているが、クリッパーズにとっては彼こそが最も欲しかった戦力だ。カワイ・レナードとポール・ジョージを擁して優勝を狙えるチームにはなっているが、プレーオフの勝負どころで持てる力の100%を引き出す司令塔を欠いている。パトリック・ベバリーはディフェンスでエナジーをもたらす選手で、ルー・ウィリアムズはベンチから出るスコアラー。チームは真のポイントガードを必要としていた。
ロンドは昨シーズンのレイカーズの優勝において決定的な役割を果たしている。ケガがありシーズンを通じて活躍できたわけではないが、ポストシーズンに入ると本領を発揮し、ベンチから16試合に出場し、平均24.7分のプレータイムで8.9得点、6.6アシスト、1.4スティールを記録。得意のアシストはもちろん、パスを警戒させて自らシュートに持ち込むプレーも多用した。さらにはレブロン・ジェームズのゲームメークの負担を軽減したことが、レイカーズの安定した強さに繋がった。まさに『プレーオフ・ロンド』の異名に相応しいパフォーマンスを披露し、自身2度目のNBA優勝を勝ち取っている。
昨シーズンのレイカーズとクリッパーズの差は『ロンドがいたかどうか』だったと言える。この両チームは西カンファレンス優勝の本命と見なされていたが、クリッパーズはナゲッツ相手に3勝1敗から3連敗を喫し、レイカーズが待つカンファレンスファイナルにたどり着けなかった。ナゲッツの爆発力はすさまじかったが、クリッパーズに脆さがあったのも間違いない。長い戦いの中では劣勢に追い込まれることもある。ここでチームを落ち着かせて、相手の綻びを見つけて勝ち筋を見付けられる、そんな数少ない選手の一人がロンドだ。
ポイントガードの補強はカワイの要求だったと報じられている。球団はそのリクエストに100点の回答を出したと言えるだろう。純粋なゲームメーカーであり強烈なリーダーシップを持つロンドは、2年連続でロサンゼルスのチームを優勝へと導く大役を担う。