岡田侑大

勝負どころで躊躇なく仕掛けた岡田、11得点で勝利に貢献

3月25日、富山グラウジーズがホームで宇都宮ブレックスと対戦した。リーグNo.1の堅守を誇る相手にジュリアン・マブンガ、ジョシュア・スミスの2枚看板を軸にした持ち前のハイパワーオフェンス爆発で90-85と競り勝ち、チャンピオンシップ出場へ向け貴重な1勝をつかんだ。

第1クォーター、富山は岡田侑大、宇都宮は渡邉裕規がそれぞれ長距離砲を効果的に決め互角の出だしとなる。しかし、第2クォーターに入ると一気に富山のペースに。3点リードで迎えた残り5分半から松脇圭志が連続3ポイントシュートを決めると、ジュリアン・マブンガの得点でリードを2桁に広げる。さらに終盤にはジョシュア・スミスがオフェンスリバウンドから押し込み、岡田が再び3ポイントシュートを成功させる。

また、守ってはこのクォーターで、宇都宮に7本のオフェンスリバウンドを取られるも、粘り強くマークを続けることで相手のフィールドゴールを21本中6本成功に抑える。第2クォーターで26-14と圧倒した富山が14点リードで前半を終える。

だが、第3クォーターに入ると宇都宮が反撃を開始する。前から激しく当たって富山オフェンスのリズムを崩すと、前半は苦しんだ相手のゾーンディフェンスにも慣れ、相手がカバーしきれないスペースを的確に突いてのシュートが増える。結果、第2クォーターとは真逆で、宇都宮はこのクォーターでフィールドゴール19本中13本成功と高確率で沈め、富山のリードはわずか1点となった。

宇都宮からすれば第4クォーターも一気にたたみ掛けたかったが、ここで富山は松脇、橋本晃佑の3ポイントシュートで相手に傾いた流れを断ち切る。そしてマブンガのドライブからスミスが豪快なダンクを決め、12点リードでオフィシャルタイムアウトとなる。しかし、宇都宮もこのまま引き下がらない。鵤誠司がスティールからの速攻を含む連続得点を挙げて反撃を開始すると、残り1分7秒にはLJ・ピークの3ポイントシュートで宇都宮がついに85-84とひっくり返す。

しかし、富山は直後に大黒柱マブンガが、ドライブからバスケット・カウントを決めてすぐに再逆転。さらに残り17秒には、岡田がスイッチによって生まれたライアン・ロシターの1対1でスピードのミスマッチを突き、値千金のレイアップをねじこんだ。岡田は前半で9得点も、この決勝弾の前まで後半は無得点かつ第4クォーターはシュートを1本も打っていなかった。それでもこの大事な場面で躊躇なく攻める気持ちの強さを見せ、それが大きな勝利を呼び込んだ。

宇都宮ブレックス

「ウチのバスケットの強度を最近スタートから出していけない」

この試合、富山はリチャード・ソロモンが故障欠場の中、スミスが26得点11リバウンド、マブンガが23得点10リバウンド7アシストと期待通りの働き。さらに岡田の11得点に加え、ベンチスタートの松脇が9得点を挙げるなど日本人選手の要所での活躍も光った。

浜口炎ヘッドコーチは、宇都宮の堅守を攻略できた要因をこう語る。「選手がよくファイトしてくれた。アシスタントコーチが非常に良いスカウティングで今日のゲームプランを立ててくれ、それをよく遂行できました」

そして、古巣の宇都宮相手に第4クォーターでの貴重な3ポイントシュート2本を含む8得点を挙げた橋本は、「古巣相手に勝ちたい気持ちが強かったです。チーム一丸となって戦った結果が良い方向に行ったと思います」とコメント。前回の宇都宮戦ではフィールドゴール6本中成功なしで0得点、試合も63-100と大敗を喫したところからのリベンジに笑顔を見せた。

一方、宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチは「富山さんは外国籍選手2人の得点能力に加え、周りの選手の思い切りの良さが目立ってきてそこを警戒していましたが、前半からそこを止められなかった。3ポイントを抑えることもできなかった」と崩れたディフェンスを振り返る。

「ウチのバスケットの強度を最近スタートから出していけないのが課題」と続けており、週末のホームゲームでは立ち上がりにどんなディフェンスを見せるのかが注目される。