「詰められても逆転されないのが今年のトヨタ」
「歴史を変えるようなプレーオフにしていきたい」。馬瓜エブリンはWリーグプレーオフのセミファイナル前の記者会見でこう語った。トヨタ自動車アンテロープスは、その目標達成まであと1勝のところまで来た。
3月20日に行われたプレーオフファイナルの第1戦で、トヨタ自動車はENEOSサンフラワーズに71-66で勝利した。エブリンが「出だしからしっかりと走ってリングにアタックして、ENEOSがやりたいことをさせないディフェンスができていました」と振り返ったように、トヨタ自動車は立ち上がりからインテンシティの高いディフェンスからの速攻で主導権を握り、21-4と圧倒した。
それでもENEOSは、皇后杯に続きこのプレーオフで終盤での勝負強さを見せつけているチーム。この試合でも第1クォーターこそ攻守が噛み合わなかったが、第2クォーターに立て直すと猛反撃を開始。最終クォーターに入ると宮澤夕貴が立て続けにセカンドチャンスポイントを挙げ、さらに岡本彩也花の3ポイントシュートなどで13-2のラン。残り5分20秒で1点差へと迫った。
しかし、トヨタ自動車にも12月の皇后杯決勝での教訓がある。皇后杯でも第3クォーター終盤までは自分たちのペースで試合が進んでいたが、勝負どころでENEOSの固いディフェンスに阻まれ、そこからのトランジションで逆転負けを喫した。それが今回は点差を詰められても焦ることなく自分たちのスタイルを貫き、一度も逆転を許すことなく最後まで逃げ切った。
司令塔の安間志織は「詰められても逆転されないのが今年のトヨタ」と語る。「後半はリズムが落ちて相手に決められてしまい、私たちの流れじゃない時がありました。それでも皇后杯でのことがあったので、全員で『同じことをしない』と話していました。詰められても焦るのではなく、私たちのやるべきことをもう一回やろうと立て直せました」
その安間はこの試合で20得点7リバウンド8アシスト1ブロックを記録。司令塔とは、言わばコート上の監督だ。安間はこのスタッツ以上にバスケットIQを駆使した冷静なゲームメーク力、そして仲間を鼓舞するハッスルプレーで最後までチームを引っ張った。
今日の第2戦をモノにするために、安間は「私たちの走るバスケットをすること。激しいディフェンスからリバウンドを取り、全員で走ってまたリバウンド、というバスケを表現して戦いたい」と力強くコメントした。
トヨタ自動車が今日の第2戦を制し、『女王』ENEOSを相手に連勝でWリーグ初優勝を手にすることができるか。彼女たちの挑戦から目が離せない。
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