八村塁

指揮官は八村を絶賛「今日も塁のベストゲームだ」

2月25日に行われたナゲッツvsウィザーズは、前半にウィザーズがリードする時間が長かったものの後半は大接戦となり、第4クォーター終盤まで点差が離れなかった。ウィザーズが2点リードで迎えた残り6秒、ハウル・ネトのゴール下のシュートが決まらず、ニコラ・ヨキッチが前にティップしたボールがジャマール・マレーに渡る。マイケル・ポーターJr.が先頭を走り、それをファクンド・カンパッソとモンテ・モリスが追う4人の速攻に対し、ウィザーズで守備に戻れたのはブラッドリー・ビールだけ。

ビールは言う。「マレーの前を走っていたけど、ポーターJr.にパスを出されてレイアップかダンク。それでオーバータイムに入ると覚悟していたよ。ところが彼が3ポイントラインでスピードを落としたから、『ヤバい、決めにきたぞ』と思って少しでもコンテストしようとした」

ところがマレーは打ちきれず、ポーターJr.はレイアップを狙わずコーナーへと走っていた。仕方なくカンパッソに出したパスも足元へとズレ、拾い上げるようにして打ったラストショットはリングに弾かれ、ウィザーズは命拾いする形ながら112-110で勝利した。

八村塁はこの日も先発出場し、今シーズンで最も長い38分のプレータイムで20得点5リバウンド2アシストを記録。第4クォーターは無得点で、クラッチタイムに数字に残る活躍こそなかったが、運動能力に優れたマイケル・ポーターJr.を主にマークし、NBAで最も多彩なプレーができるビッグマンのニコラ・ヨキッチを相手にしても粘り強いディフェンスを継続。得点の止まる時間に身体を張ったディフェンスでチームを支える働きが目立った。指揮官スコット・ブルックスも、彼への称賛を惜しまない「今日も塁のベストゲーム。よく走り、イージーシュートのチャンスを作ってよく決めた。ディフェンスでも意欲的で、手足の長さを生かしている。オフボールのディフェンスも良くなっている。この調子で向上し続けてほしい」

ビールは33得点でエースの働き。ラッセル・ウェストブルックはこの試合でも16得点10リバウンド10アシストのトリプル・ダブルを記録した。だが、ここ7試合で6勝と猛烈な巻き返しを見せるウィザーズは、牽引役の3人だけでなくサポートキャストの貢献も目立つ。モリッツ・バグナーとギャリソン・マシューズはプレータイムが長いわけではないが、試合の入りでハードワークしてディフェンスから流れを作る大事な働きをこなしている。ロビン・ロペスはハンドリングのミスこそ目立つものの、ヨキッチに身体をぶつけて疲弊させ、得意のフックシュートを決めることで相手ディフェンスの意識を引き付け、ビールとウェストブルック、そして八村のプレーを助けた。

ビールは大量得点を連発しながらも負け続けていたどん詰まりの状況から脱したことで表情が明るくなっている。そしてウェストブルックは完全に自信を取り戻し、無理なシュートを選択せずに最善のパスが出せるようになり、リズムが良いために強引に行くプレーも決まるようになった。

ナゲッツが最後にミスで自滅した試合ではあったが、そこに至る過程ではウィザーズがこのところ勝ち続けている理由が多く見られた。八村も長期欠場の影響はすっかり抜けて、どの試合でもハードに戦うことができている。いまだ12勝18敗と借金生活ではあるが、今のウィザーズにはNBAのどのチームを相手にしても互角以上に戦える勢いがある。