2度のケガで「 チームの助けになれない時間が続きました 」
川崎ブレイブサンダースに頼もしい男が帰ってきた。
アウェー6連戦を終えた川崎はサンロッカーズ渋谷との水曜ナイトゲームに86-73で勝利し、SR渋谷の連勝を8で止めた。ディフェンスのインテンシティで上回ったことが最大の勝因となったが、前節から復帰を果たしたマティアス・カルファニのオールラウンドな活躍は勝利に欠かせないピースとなっていた。
カルファニは15分間の出場で14得点4リバウンド2スティールを記録。スティールからの速攻やビッグラインナップで起点となるなど、重要な局面で優位性を保ち立役者となった。この日の川崎は出場した全員が得点を挙げるバランスの良さが目立ち、カルファニの14得点はチーム最多となってMVPを受賞。カルファニは「自分が求められていることは、エナジーを高めることや、ハードなディフェンスをすること、オフェンスで起点になることですが、今日はそれができて勝利に繋がりました。MVPにも選ばれて良かったです」と、笑顔で語った。
佐藤賢次ヘッドコーチは「時々、こちらの予想を超えるプレーをしてくれるのが彼の一番の強みだと思っている」とカルファニの魅力を語りつつ、「想定内の部分もありますし、思った以上にやってくれた部分もあった。トータルの出来では想定内ですが、もっと良くなる」とホーム復帰戦でのパフォーマンスを評価した。
約1年前、カルファニは右膝関節前十字靭帯損傷の大ケガを負い、シーズンを棒に振った。大きなケガを乗り越えて迎えた今シーズンだったが、開幕10試合目で左足底筋膜断裂という重傷を負い、約3カ月の欠場を余儀なくされた。カルファニは「コンディショニングスタッフが全力でサポートしてくれたから、100%で戻ってこれたと思っていて、とても感謝しています。彼らを信じられるからこそ、今の復帰に繋がっています」と、コンディショニングスタッフへのリスペクトを語った。
完全復帰を果たし、久しぶりのホーム戦でMVPに選ばれたカルファニは「とどろきに戻ってくることができて、とてもうれしい」と話し、あらためてチームの力になれた喜びを噛みしめた。「長い間コートの外にいて、チームの助けになれない時間が続きました。今日はしっかりとコートに立って、チームメートとバスケットボールをプレーできました。チームの勝利に貢献できたことがすごくうれしいです」
「状況判断とエナジーをもたらすことが僕の強み」
カルファニは自身のスタッツよりもチームの勝利を優先するチームファーストな選手で、それはベンチスタートとなっても変わらない。むしろ、相手にとってはカルファニがベンチから出てきたほうが厄介に感じることもあるだろう。実際、カルファニも「僕が出る瞬間にチームには何が必要で、相手の弱みは何か、僕にできることは何なのかをベンチで考えることができている。状況判断とエナジーをもたらすことが僕の強み」と語り、ベンチから流れを変える役割にやりがいを感じている。
明日は島根スサノオマジックとのアウェー戦を控えている。川崎は強豪との対戦がありながらも、水曜ナイトゲームは6戦全勝を誇っている。だがその一方で、3節連続で1勝1敗と連勝することができていない。佐藤ヘッドコーチも「課題は連戦で勝てていないこと。水曜日は全部勝っているという不思議な状況なんですけど、何か原因があると思うので、連戦でも勝ち切れるように準備したい」と、頭を抱えている。
上位に浮上するには、週末の試合で連勝することが必須だ。カルファニの完全復活が起爆剤となり、連勝できない悪いジンクスを吹き飛ばせるか。後半戦に臨む川崎から目が離せない。