ディフェンス合戦を制す立役者に
「藤井(祐眞)選手の7スティールですかね。それが物語っているように良いディフェンスができている時間帯がウチにあって、それが良いオフェンスに繋がったのかなと思います」
これは昨日行われた川崎ブレイブサンダースvsサンロッカーズ渋谷の試合後の会見で佐藤賢次ヘッドコーチから出た言葉だ。チームスポーツである以上、それぞれの選手が与えられた役割をこなした先に勝敗が来るわけで、特定の選手のおかげで試合に勝ったと言うヘッドコーチは多くない。それでも、佐藤ヘッドコーチが自然と名前を挙げたように、昨日の試合での藤井のディフェンスは勝敗に大きく関与していた。
藤井は25分間の出場で13得点5アシストを記録。そして、特筆すべきはキャリアハイ(タイ)であり、リーグ記録でもある7つのスティールを挙げたことだ。無尽蔵のスタミナで前線からプレッシャーをかけ続け、バックコートでボールを奪うなど、イージーシュートに繋げた。SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチが「ターンオーバーの数とそこからの失点が多すぎました。あれではどことやっても勝てない」と語ったことからも分かるように、ターンオーバーが勝敗を分けたことは明らかだった。
もちろん、SR渋谷の大黒柱であり、ボール運びもできるライアン・ケリーが欠場したことで、いつも以上にプレッシャーディフェンスが効いた側面はある。それでも、それ以上にチームディフェンスが機能したことが勝因となったと藤井は言う。「ケリー選手が不在ということで、リバウンドなども激しく来るだろうと想定していましたが、チームでもしっかり意識できていましたし、秋田との2戦目でやられたトランジションディフェンス、そういうところをしっかり意識してやることができたのが勝ちに繋がったと思います」
確かに川崎のディフェンスは機能していた。その中でも、7スティールという数字のインパクトは大きく、ポイントガードへ圧力をかけ続けてショットクロックを減らし、簡単にエントリーさせなかったディフェンスはやはり称賛されるべきだろう。「ディフェンスでは持ち味が出せて、僕が大好きなオールコートの1対1がずっとできたのでそこは良かったです」
また、13得点とオフェンスでも一定の数字を残したが、「オフェンスで少しガス欠になってしまいました。ディフェンスを激しくやっている中でもシュートの確率をしっかりと保てるように、今後、頑張っていきたいと思います」とさらなる向上を誓った。
昨シーズンの藤井は『ベスト5』、『ベスト6thマン賞』、『ベストディフェンダー賞』の3冠を達成するなど、充実したシーズンを送った。しかし、今シーズンは安定感に欠け、主要スタッツを軒並み落としている。この試合でリーグトップクラスの2ウェイプレーヤーであることを再び証明したことで、今後の期待は否が応にも高まる。
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