ディアンドレ・ジョーダン

アレンに代わるインサイドの補強はべインズ、マギー?

ケビン・デュラントとカイリー・アービング、そしてジェームズ・ハーデン。個人のオフェンス能力ならNBAでも屈指の選手による『ビッグ3』の誕生により、ネッツはNBAで最も注目されるチームとなった。まだ今は個人のインスピレーションが頼みだが、ここから試合を重ねることでお互いが持ち味を損なうことなく、ボールをシェアしてチームとして得点を奪っていくための連係を探っていくことになる。

「ビッグ3が機能するかどうか」がもっぱらの話題だが、ネッツの命運を左右する要素は他にもある。特にインサイド陣の強化は必須事項だ。ハーデン加入前、ネッツのセンターはディアンドレ・ジョーダンとジャレット・アレンの2人で回していたが、アレンはハーデン獲得の際にトレードでキャバリアーズへと移籍した。『ビッグ3』に注目が集まる中、ジョーダンはプレータイムを伸ばして奮闘しているが、同じくインサイドのジェフ・グリーンとともに負担は大きい。その状況で勝ちを拾うため、直近の試合ではデュラントがディフェンスにかなりの労力を割くことになった。

デュラントはディフェンスの名手でもあるが、彼がリバウンドで消耗するのはチームにとって明らかにマイナスだ。ゴール下のディフェンスとリバウンドが安定しない限りは、『ビッグ3』がどれだけ機能しても勝利はおぼつかない。

今のネッツが必要としているのは、経験のある即戦力のセンター。そういう意味で、アレンは若くて才能はあったが、あくまでこれからの選手。今シーズンに勝負をかける今のネッツでの優先順位は低く、それがトレードされる理由になったのだろう。

そういう意味でリストアップされるのがアーロン・べインズだ。ラプターズはマルク・ガソルとサージ・イバカの慰留に失敗してべインズを獲得したが、チームのスタイルにフィットせず、パスカル・シアカムとの相性も含めてクリス・ブーシェイが重用されている。もはやネッツにトレードの駒は少ないが、ラプターズはべインズに700万ドル(約8億5000万円)の契約に見合った価値を見いだしていないように思える。

もう一つの選択肢はジャベール・マギーだ。キャバリアーズではアンドレ・ドラモンドがセンターの1番手で、ここにアレンが加わった。出場機会を求めてやって来たキャブズで3番手では、マギーは納得できないはず。

また、誰を補強するにせよ、ディアンドレ・ジョーダンのさらなる活躍は欠かせない。クリッパーズを離れた2018年以降はチームを代えながら目立たない存在であり続けたが、ネッツのゴール下を支える大黒柱は32歳になったジョーダンであるべきだ。若かった頃のようなスタッツは残せなくても、そこは『ビッグ3』が解決してくれる。彼らにはできない仕事をジョーダンが果たすことが、ネッツの飛躍の第一条件となる。補強はその次のステップの話だ。

ジョーダンもそれは理解しており、先日には次のようなコメントを残している。「このチームで熱心にバスケに取り組んでいた若手がシーズンの途中でいなくなるのは寂しい。一緒にいて楽しかったし、僕も彼らから学ぶところが多かった。だけど、僕の役割は変わらない。ディフェンス面で自分の力を出しきること、オフェンスでは味方を助けてフィニッシュしやすい状況を作ること。先発だろうがベンチだろうが、出るのが35分でも13分でも、僕は自分の仕事をこなすだけだ」

ディアンドレ・ジョーダンとジェフ・グリーン、そして来るべき新戦力。彼らが『ビッグ3』をいかに支えられるかがネッツの命運を握っている。