川崎ブレイブサンダース指揮官、北卓也に聞く『新シーズンに向けた準備の日々』

2018/07/24
Bリーグ&国内
7211

北卓也

文=鈴木栄一 写真=川崎ブレイブサンダース、野口岳彦

現在、Bリーグはオフシーズンの真っ只中。まだ半数のチームはオフであり、残る半分も日本人選手だけが集まってチーム練習を始めたばかり、という状況だ。この時期にチームが何をしているのかは外からはなかなか見えにくいが、川崎ブレイブサンダースの北卓也ヘッドコーチはサマーリーグの視察を終えて帰国したばかりと、慌ただしい日々を過ごしている。来たるべき新シーズンに向けてどんな準備をしているのか、北ヘッドコーチに話を聞いた。

サマーリーグ視察を終え、チーム練習で選手と激突?

──アメリカから戻って来たばかりだそうですが、この時期は多くのチーム関係者が渡米しているようです。北ヘッドコーチは何を目的としてアメリカに行っていたのですか。

外国籍選手の獲得候補に会いに行くのが主な目的です。サマーリーグに出ているかどうかにかかわらず、直接会って話せるようにスケジュールを組みます。一番良いのはサマーリーグが行われているラスべガスで会い、プレーしている試合も見ることです。どちらにしてもサマーリーグの試合も見たいので、ラスベガスに来てもらうよう頼むこともあります。来られないとしても、可能な限りその選手に会うようにはしています。Bリーグの関係者もたくさん来ていたそうですが、今回の私たちは現地入りが遅かったので、あまり会うこともなかったです。

──サマーリーグはNBA入りを目指す若手のアピールの場ですから、Bリーグのチームの求める人材とはマッチしないのではありませんか?

サマーリーグに出ている選手をすぐに取れるかと言うと難しいですが、中期的な視点で日本にフィットするかどうか。日本はビッグマンが必要なので、そういう視点で見ることはあります。この選手はあと何年かしたら日本でプレーできそうかな、という感じで見ていますね。

あとはエージェントと会って良い選手がいないか聞いたり、エージェントが選手を集めて行うゲームを見に行ったりします。たくさんエージェントがいるので情報交換をして、現地のコーチにも会ったりしてネットワークを広げます。今回は(NBLラストシーズンの2015-2016に在籍した)ブライアン・ブッチが来ていて、彼はGリーグのコーチなので、Gリーグに良い選手がいないのかなど聞いたりしました。

──ちなみに渡邊雄太選手のプレーも見ましたか。

初めてスタートになった試合を見ました。その前の試合、3ポイントシュート4本を決めてすごいなと思いました。プレータイムをもらっているのは素晴らしいです。ただ、ネッツはノースカロライナ大出身のテオ・ピンソンがボールを持ってしまい、渡邊選手はコーナーで待っていてもなかなかボールが回って来ない。これはアメリカ的で、サマーリーグ的でもあり、もっとパスを回してほしいと思いましたね。

──ヘッドコーチになった当初と比べて、外国籍選手獲得の状況は変わりましたか?

Bリーグになって外国籍選手のサラリーキャップがなくなったので、いろいろなエージェントから連絡が来るようになりましたね。ただ、「年俸は安いのにうまい」という選手は昔と比べてあまり見つけられません。インターネットが進化して、いろいろな情報がすぐに出てくるのが影響しているのかもしれません。以前のようなサプライズが少なくなっていますが、その中で良い選手を見つけられればと思います。

──ずばり、今回の渡米の収穫は?

それはちょっと言えないです(笑)。

北卓也

「理想は1番から5番までできる選手ですね(笑)」

──新シーズンではオン・ザ・コートが外国籍「2」に固定されます。ニック・ファジーカス選手の日本国籍取得も踏まえ、選手の獲得に変化があるのか。そしてオン「2」に固定されることでの戦い方の変化はありますか?

まず、獲得の面で影響はあります。理想は1番から5番までできる選手ですね(笑)。そしてオン「2」固定になることで、やりやすくはなると見ています。これまではオン「1」とオン「2」である程度は戦い方も違っていました。昨シーズンの川崎は控えメンバーの得点がリーグで一番少なかったのですが、セカンドユニットでどれだけ戦力を落とさないでできるのか。今いるメンバーの成長に加え、外国籍選手が2人いる部分もある程度は機能していくイメージはあります。また、ニックと外国籍2人を同時に使えるので、そこをどう起用していくかですね。

──これまでの川崎の外国籍選手を見るとセドリック・ボーズマン、ライアン・スパングラー、ジョシュ・デービスなど、インサイドの選手としてはアンダーサイズですが、その分だけ機動力のある選手を獲得してきたという印象があります。

そういう選手がいたらいいなとは思っています。ボーズマンについては、ニックとマドゥ(ジュフ磨々道)がいて、もっと背が高ければとも思いますが、性格が良くてスキルがありました。そして、あの時は鎌田(裕也)が大卒1年目、大西(崇範)もパナソニックから移籍で入っていて、ビッグマンのところは2人でカバーできるということでボーズマンにしました。ガードにするつもりはなかったのですが、練習でリバウンドを取ってボーズマンがプッシュすると早かったので、ガードの役割もやってもらいました。

似たようなタイプが続いたのは「たまたま」です。ライアンの時も、候補にいて見たらめちゃくちゃ足が速いんで、これは取らなければと動きました。どちらかと言うとニックはスピードがないので、それを補う選手がいたらとは思います。ボールプッシュができて4番もできる、今で言うストレッチ4タイプ、ドレイモンド・グリーンがいてくれればと思います(笑)。

──川崎にとっては運営会社が東芝グループからDeNAグループに変更になる大きな出来事がありました。チームにとっては練習場もクラブハウスも変わりませんが、北ヘッドコーチとしてはどんな変化を感じていますか?

細かいところで変化はたくさんあります。例えば使っているパソコンがWINDOWSからMacに変わったり。今は変化に慣れているところです。

北卓也

「今は長いシーズンを耐えられる身体作りをしっかり」

──まだ外国籍選手がいませんが、今のチーム練習は何をメインにやっていますか。

個々のスキルアップが中心となります。それぞれの選手に個人目標を書いてもらい、それに沿って目標を達成するためにどういう練習をするのか。チーム練習の後の個人練習では、映像を見せながらこうした方がいいと指導しています。また、長いシーズンを耐えられる身体作りをしっかりやろうというところですね。

佐藤(賢次)、勝又(穣次)とアシスタントコーチ陣が今は中心になって練習をやってくれています。私はアメリカに行き、これからすぐにコーチライセンスの講習会に行くなど、自分磨きをしているところです(笑)。

──今は人数が少ないですが、コーチ陣も練習に参加するんですか?

そうですね。昨日は佐藤と勝又が練習でディフェンスに入っていましたが、それでも人数が足りなかったので私も途中から入りました。ゴール下で選手を押す役割でだんだんエンジンが掛かって激しくやっていたら、最後に(篠山)竜青とコンタクトがあり肋骨が折れたかと思うぐらいハードに当たられました。今は湿布を貼っています(笑)。

──チームの底上げに欠かせない若手選手をどう育てていきたいと考えますか。

代表活動などでメンバーがいないことで、若手にとってプレータイムをもらえて伸びるチャンスがあります。そこでいかに信頼を勝ち取れるか。最初の方は試合に出したいと思っています。まずはプレシーズンで今やっていることをどこまで出せるのか。プレシーズンで良かったらリーグ戦でのプレータイムへ、とつながっていきます。

──新シーズンの開幕を楽しみに待っているファンの皆さんにメッセージをお願いします。

新しい川崎ブレイブサンダースとなりました。ゲームとエンタテインメントの両方により期待してもらいたいです。まだメンバーも決まっていませんが、あまり大きくは変わっていないです。今いるメンバーのレベルアップに加えて面白い若手もいますので、彼らの頑張りに期待して、ヘッドコーチ8年目のシーズンを頑張ります。