2シーズンぶりの3連敗に危機感
週末の京都ハンナリーズ戦に敗れた川崎ブレイブサンダースは今、2シーズンぶりとなる3連敗中だ。15勝8敗、東地区3位という成績の通り、強豪と呼ばれるだけの圧倒的な力を示せていない。
佐藤賢次ヘッドコーチも「得点が止まってしまった時やターンオーバーが出たり、不利な笛が鳴った時、それをチームで乗り越えられていないのが今のチーム」と強い危機感を抱いている。。
第1戦が延長、第2戦が1点差と、京都との2試合はともに接戦だったが、特に第2戦は初戦で25得点を許した松井啓十郎を5得点に抑えるなど前日からの改善点が多々見られただけに、佐藤ヘッドコーチも「決して悪い内容ではなかった」と振り返った。
「(レイヴォンテ)ライス選手と(デイヴィッド)サイモン選手のピック&ロール、松井選手の3ポイントとやられてはいけないところを明確に決めていました。自分たちがやるべきところをしっかり共有して、流れが悪くなりそうなところも我慢して、選手同士が話し合って繋いでいた」
確かにライスやサイモンに対して、タフショットを打たせることには成功していた。しかし、彼らはそのコンテストを上回って得点を量産。作戦は成功しているのに失点が続いたことで、次第に歯車が狂っていった。
「タフなシュートを誰に打たせるのか、そこの理解度を上げていかないといけない。全員の共通理解がないところで取られた点数も少しあったので、そこを突き詰めていかないといけない」と、ディフェンスのプライドを取り戻す戦いが続く。
「もう一度、強い川崎にしていきたいです」
延長の末に敗れた第1戦の試合後、辻直人は「自分が前面に出て、チームの勝敗について責任を持ってやっていきたい」と語り、並々ならぬ思いで第2戦に臨んだ。3ポイントシュート4本を含む、13得点を挙げる活躍を見せ、特に4本目の3ポイントシュートは、3点ビハインドで迎えた最終クォーター残り9秒の場面で決めたチームを救うビッグショットだった。しかし、辻はその直後のディフェンスで痛恨のファウルを犯してしまい、フリースローを献上。結果的に辻が与えたこのフリースローが決勝点となってしまった。
フィフティフィフティな状況で不可抗力な部分もあったかもしれない。それでも辻は、「ああいうファウルはしちゃいけないと分かっていたんですけど、最後にいらないファウルをしてしまい負けに繋げてしまったことは本当に反省しないといけないと思います」と語り、敗戦の責任を背負った。
ここまでの辻は平均11.6得点、3ポイントシュート成功率40.0%を記録し、低迷した昨シーズンと見違えるパフォーマンスを見せている。輝きを取り戻しつつある現状について「満足はしてないですけど、最低限のことはやれている手応えはつかんでいます」と合格点を与えた。
数字は自身の評価を表す指標となり、プロ選手はスタッツにもっと執着してもいいはず。辻のように、前年度に思うような成績を残せなかった選手はなおさらだ。有言実行し、復活を象徴させるようなシーズンを送っている辻だが、今は自分の数字よりもチームの勝利にフォーカスしている。
「ダメな時に伝染してしまう脆さがチームにはあるので、そこと向き合っていかないといけません。チームが苦しい時に自分が覆して、優勝を狙うプライドを持ち続ける。もう一度、強い川崎にしていきたいです」
第2戦では、結果的にチームを救ったヒーローから、決勝点を与えた戦犯となってしまった辻。それでも「次こそは、自分がチームを勝利に導いていきたい」と、勝者のメンタルにブレはない。川崎が再び強豪としての地位を確立するには、自分を取り戻すことができた辻の存在が極めて重要になる。