ゲーム序盤からインテンシティの高いディフェンスを遂行
千葉ジェッツvs富山グラウジーズの第1戦。ここまで得点が平均89.7でB1トップの千葉と、平均88.6得点で2位に位置する富山というオフェンス力に長けたチーム同士の対決となったが、堅守速攻を体現した千葉が98-82で勝利した。
千葉は立ち上がりから強度が高いディフェンスを遂行し、特に佐藤卓磨が前線から宇都直輝にプレッシャーを与えることで富山を走らせない。ハーフコートに入っても、千葉はペイントエリアに富山を入れさない守りを徹底する。リチャード・ソロモンに対してはポジションを取らせずにディナイをしっかりとすることで、スティールから速攻へと繋ぐ。また、宇都やジュリアン・マブンガのドライブに対してもヘルプがしっかりと入り、タフショットを打たせてはディフェンスリバウンドから速い攻めに転じ、開始5分で21-9と圧倒した。
29-20とリードして第2クォーターを迎えた千葉だが、開始1分でセバスチャン・サイズがファウル3つ目を犯し、ファウルトラブルに悩まされる。それでも千葉は全員がディフェンスの強度を落とさずに遂行し、オフェンスでも途中出場の原修太や藤永佳昭が、相手が勢いをつかみそうな時にしっかりと3ポイントシュートを沈めることで38-29とリードを維持して、オフィシャルタイムアウトを迎える。
しかし、ここから流れが変わり始める。 第1クォーターではドライブを封じられた富山だが、ウイング陣が通常よりも高い位置でポジションを取りスペースを作り出す。すると、マブンガとソロモンのツーメンゲームが機能し始め、交代で入ったジョシュア・スミスもゴール下で3人に抑えられてもパワーで押し切り得点へと繋ぐ。そしてインサイドにディフェンスが寄ると、今度はアウトサイドで構えていた松脇圭志や前田悟の3ポイントシュートが立て続けに決まり、6点差まで詰めて前半を終えた。
49-43と千葉がリードして迎えた後半。富山は高い位置でボールを回してズレを作ると前田の3ポイントシュートで、開始1分で2点差まで詰め寄る。このまま富山の流れになるかと思われたが、富樫勇樹がディフェンスリバウンドからのコースト・トゥ・コーストで流れを断ち切る。その後も富樫がボールプッシュすることで、千葉は走るバスケットを展開して主導権を握った。
そして78-64で迎えた最終クォーター。千葉はコートに出た全員が攻守に渡り役割を全うする。ディフェンスでも誰が出ても強度は変わらずに、富山からターンオーバーを誘発して速攻を決めるなど、最後まで堅守速攻を体現した千葉が勝利した。
「断トツ切り替えも速くて、ボールプッシュもできるチーム」
敗れた富山の浜口炎ヘッドコーチは、「第1クォーターの始めで千葉さんの得意なファストブレイクにちょっとついて行けなかったです」と振り返り、こう続けた。「今まで何チームともプレーして来ましたが、その中でも断トツ切り替えも速くて、ボールプッシュもできるチームです。私たちも速いチームのつもりでいて、全体のペースとしてはウチと千葉さんはあまり変わらないと思いますけど、ちょっと質が違うと最初に感じました。第2クォーター以降は、少し慣れてきたこともあって対応できた部分もありましたが、今の千葉さんの実力がそのまま出た試合だったと思います」
富山と言えば、オフェンス力に長けた選手が多いが、ディフェンスにも力を入れている。浜口ヘッドコーチは言う。「ディフェンスも選手たちはすごく頑張ってくれていて、だいぶアグレッシブにできるようになってきたと思います。もともとオフェンス能力がある選手は、本来ディフェンスもできる選手だと私は思っているので、あとは千葉さんのようにチームディフェンスができるようなること。そこは簡単ではないので、もう少し時間を掛けて取り組んでいきたいです」
一方、勝利した大野篤史ヘッドコーチは「富山さんは特徴あるチームで、オフェンス能力はすさまじいです。そこにしっかりフォーカスしながらも、私たちが一番フォーカスしなければいけないのは、自分たちのペースでやること」と語る。「ソロモン選手が出ている時とスミス選手が出ている時のペースが富山さんは違いますが、ウチは誰が出ても自分たちのペースでバスケットをする、ペースが変わらない。そこが一番大事になってくるので、明日も自分たちのペースでバスケットができるように、どんどんボールをプッシュしていきたいです」
「今日のチームのオフェンスのテーマは『走る』、それだけ」
この試合で18得点2リバウンド8アシスト3スティール1ブロックを記録し、後半の頭で富山に流れが変わりそうな時に、ボールをプッシュしチームに勢いを与えた富樫は、「今日のチームのオフェンスのテーマは『走る』、それだけでした。もう走り勝つこと」と言う。
「ディフェンスはしっかりと準備して来たことをやって、そこから走る。それはしつこいぐらいに大野さんからも言われていましたし、それをポイントガードの自分がしっかりプッシュできたことが良い結果に繋がったと思います」
「リバウンドを取った時もシュートを決められた後も、とりあえずハーフコートまではできるだけ早く運ぶことを大野さんから言われていました。相手はハーフコートが得意なチームではないと思うので、トランジションのところでどれだけイージーなポイントが取れるかが鍵だと思っていたので、そこはボールを運ぶ自分の役割がすごく大きいと思います」