富永啓生

指揮官ホイバーグ「彼の加入に興奮しています」

現地時間11月11日、NCAA1部ネブラスカ大学バスケットボール部は、レンジャー短大に在学中の富永啓生が入学書類にサインしたことを発表した。昨年の時点で富永は同大学への入学を表明していたが、これはあくまで口頭同意だった。そして、今回のサインによって、来秋スタートとなる2021-22シーズンからの加入が正式に決定した。

ネブラスカ大バスケットボール部の公式サイトによると、富永は昨シーズン28勝3敗の好成績を残したレンジャー短大で1試合平均16.8得点(フィールドゴール成功率55%)を記録し、11試合で20得点以上をマークした。全米短大カテゴリーにおいて、3ポイントシュート成功率(47.9%)、3ポイントシュート成功数(1試合平均3.4本)でともにトップ20入りを果たしている。

そして、元NBA選手でありブルズで指揮を執った経験を持つ、ネブラスカ大のフレッド・ホイバーグヘッドコーチは次のように富永を評している。

「啓生はバスケットボール部の歴史において最も個性的な選手の一人です。彼の加入に興奮しています。彼は日本のステフィン・カリーと呼ばれ、制限のないシュートエリアとクイックリリースを持つ本当の意味でのエリート3ポイントシューターです。そしてシューティングだけでなく、フロアスペースを作り出す能力でもチームにインパクトを与え、それは他の選手たちがドライブする道を作り出す助けとなるでしょう」

ちなみにネブラスカ大といえばアメリカンフットボールの名門として知られており、バスケットボール部はそこまで有名ではない。2000年代に入ってNCAAトーナメントに出場したのも2014年の一度のみだ。ただ、同大が所属しているのは全米屈指の『BIG TEN』カンファレンス(10とあるが所属チームは現在14校)。ミシガン州立大、ミシガン大、オハイオ州立大、インディアナ大、メリーランド大、ウィスコンシン大など、NCAAファンにはお馴染みの強豪校が集っている。

先日発表された『AP通信』が選出するトップ25ランキングでは、5位のアイオワ大を筆頭に7位ウィスコンシン大、8位イリノイ大、13位ミシガン州立大、23位オハイオ州立大、25位ミシガン大とランクインしており、レベルの高さを物語っている。

昨シーズンのネブラスカ大は7勝25敗、『BIG TEN』カンファレンス内の成績は2勝18敗と低迷。就任1年目のホイバーグにとっては厳しい船出となった。ただ、その中で新入生ではなく短大からの編入で2年しかプレー期間がない富永を獲得したところに、彼に対する即戦力としての期待の大きさが伺い知れる。

また、富永にとっては数多くのNBA選手を輩出している名門校とカンファレンスゲームで多くの実戦ができ、自身の成長へ繋がるこれ以上ない経験となる。過去に日本人選手がNCAAでプレーした大学を比べると、八村塁のゴンザガ大は実力的に頭1つから2つ抜けている。ただ、ゴンザガ大の所属するWCCはミッドメジャーカンファレンスと呼ばれる中位レベル。『BIG TEN』は全米随一であり、富永はこれまでの日本人NCAA選手の中で最もレベルの高いカンファレンスで実力を磨くことになる。