個人的な出来は「40点、45点くらい」と語る篠山竜青、成長にフォーカスしつつ感じる『引退』の2文字

個人的な出来は「40点、45点くらい」と語る篠山竜青、成長にフォーカスしつつ感じる『引退』の2文字

2020/11/04
篠山竜青

川崎ブレイブサンダースは8勝2敗と好スタートを切るも……

川崎ブレイブサンダースは開幕10試合を8勝2敗と、優勝候補の前評判に違わぬ成績で終えてショートブレイクに突入した。ここまでの戦いぶりをキャプテンの篠山竜青は「チームとしては100点満点で言うと60点、70点くらいです」と総括。オフェンス、ディフェンスに関してそれぞれこう分析を続ける。

「ディフェンスにはすごく手応えを感じています。(佐藤)賢次さんからいろいろなスタッツのリーグ全体のランキングを見せてもらいましたが、ディフェンスは平均失点など複数の項目で上位に入っています。実際にプレーしている手応えに加え、数字の部分でも質の高いものを体現できていると思います」

「オフェンスは昨シーズンから選手は同じですが、セットプレー、アーリーオフェンスのコンセプトが少しずつ変わっています。そこに関しての共通認識はまだまだです。それが如実に現れているのが、チーム全体として3ポイントシュートの確率が上がってこない点です。そこは課題ですが、みんながオフェンスで悩むことがなくなり、フロアバランスが取れてチームで作ったシュートが増えていくことで確率は必ず上がってきます」

このように、守備と比べると攻撃に修正点があると篠山は見ている。同時に「これだけ3ポイントシュートの試投数が多くて成功率が低い状況であっても、平均得点、アシストではリーグ上位にいます。そこは自信を持っていい部分です。もっと成長できるチームだと、この10試合で感じました」と、武器とする長距離砲の成功率が低い中でも平均以上の得点を挙げられていることへの手応えを得ている。

それでも篠山自身のパフォーマンスになると、「40点、45点くらいです」と厳しい自己評価が返ってきた。「昨シーズンは肘を脱臼した後での復帰戦が、打ち切りとなる前の最後試合でした。復帰したらシーズンが終わってしまい、ゲームへの感覚を含めてまだまだ本調子ではないです。スタッツでチームに貢献できていない部分は減点対象になります。ただ、調子が上がってこない、連戦で疲れが溜まる中でも最低限やらないといけないディフェンスの部分はやれている。赤点だと自分でいうのはかわいそうで、この点数になると思います」

篠山竜青

「スタッツに出ないところが武器だからこそ、数字にこだわる」

本人が言及するスタッツ部分を見ると、開幕10試合の篠山は平均4.5得点、3.8アシスト。これは昨シーズンの平均8.3得点、4.7アシストに比べるとダウンしている。ただ、リーグ随一の選手層を誇る川崎で、スコアラーの役割を担っていない篠山がスタッツを残すのは簡単ではない。また、リーダーシップ、タフなディフェンス、ゲームコントロールなど篠山は川崎入団当初から数字に出ない部分でも評価され、日本代表の常連へと地位を高めてきた。それでも篠山は、「15分、20分の出場時間とタイムシェアをして、得点力がある選手が12名揃っているのが川崎ですが、自分はもっとスタッツを残せるはずだと思っています」と数字も強く意識する。

そこにはこのような理想とするポイントガード像がある。「相手から脅威に思われないとポイントガードとして良い仕事はできないです。若い時からスタッツに出ないところでチームを助けることが自分の大きな武器であるからこそ、数字にはこだわっていかないといけない。そこは自分の中でかなり意識しています。それは昔からそうですし、特に代表に絡むようになってから強くなりました。だから、この状況に甘んじないように考えています」

現在、リーグは開幕1カ月を終えたところで中9日のショートブレイクを迎えている。昨シーズンまで何度も代表活動との両立をこなすなどタフな日程を乗り越えてきた篠山だが、それでも「ここまでの1カ月の過密日程はインパクトがありました。正直、やっと休めたという気持ちです」と明かす。

「3月にリーグ戦が打ち切りとなり、さらに夏の代表活動もないなど、ブランクがいつもより空いたこと。それに見えない部分で、感染対策へのストレスを感じていたところもあると思います。自分は遠くのことをいろいろと見据えてできないタイプです。毎週、目まぐるしい中で試合をこなしていって、気づけば10試合が終わっていた。相手がどこなのかもはっきり覚えていない。これは毎年同じような感じですが、中でも今年の開幕1カ月は素直に疲れました」

篠山竜青

「すぐ近くに引退を感じ取るようになった」

コロナ禍でいつもと違う1カ月を慌ただしく過ごした篠山だが、コート外では日大の先輩で川崎でも長らくチームメートだった栗原貴宏が引退。さらに川崎フロンターレの中村憲剛が今シーズン限りでの引退発表と、親交がある尊敬する2人のアスリートの相次ぐ重大発表を受け、その心境に一つの大きな変化があった。

「栗原さんを受け、引退というものを考えるようになりました。さらに中村憲剛さんの引退発表もありました。32歳であらためて身体的、メンタル的にもまだまだ頑張りたい思いを持っていますが、すぐ近くに引退を感じ取るようになったと思います」

11月の川崎は琉球ゴールデンキングス、千葉ジェッツ、富山グラウジーズとリーグ上位との連戦が続く。ただ、「まだまだ成長させていかなければいけない部分はたくさんあります。激しい戦いになり、盛り上がると思いますが、やっている僕らは特別に意識せずにいます」と、篠山はあくまで冷静に自分たちの成長にフォーカスしている。

11月の過酷な5試合への意気込みをこう語る。「自分たちが先に準備をし、相手よりもタフに戦う。自分たちのやりたい方向に仕向けて、相手をやりたいことを壊す。川崎のキーワードになっている『Be Ready』、『Be Tough』、『Dictate』、『Disrupt』を体現することの大切さを開幕10試合の振り返りであらためて感じました。この4つのキーワードのベースを上げる。そこをブレずにできるかどうかで勝敗も大きく変わってきます。この4つを体現して、チームとして自信をつけられる5試合になればいいと思います」

川崎は中心選手の一人、マティアス・カルファニが10月24日に左足底筋膜断裂を負って戦線離脱中。これで大きな武器であるビッグラインアップを制限せざるを得ない状況になっており、だからこそ日本人選手がよりスタッツを残すことが求められる。そのためには、篠山が40点、45点との自己採点を高めるパフォーマンスを見せることが重要となってくる。

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