レブロン・ジェームズ

『バブル』を離れるつもりだったレブロンを翻意させたオバマの言葉

今から約2カ月前、バックスが人種差別に対する抗議としてプレーオフの試合をボイコットした。それをきっかけに、NBA選手会はその後の対応について協議したが意見がまとまらず、話し合いは紛糾したと報じられた。

レイカーズのレブロン・ジェームズは、その時点ではオーランドのディズニーリゾートで開催された『バブル』を離れる考えだったと『The Shop HBO』で初めて明かした。そして、そのレブロンの気持ちを変えた人物こそ、前アメリカ合衆国大統領のバラク・オバマ氏だという。

レブロンや選手会長のクリス・ポールなどがオバマ氏と会談したことは報じられたが、詳細は不明だった。レブロンは番組内でボイコット騒動時の心境を語った。

「バックスが行動した時点でコートに立つ方法はなかった。僕たちは兄弟のような結びつきだから、バックスの行動を支持した。それに、自分を含めてレイカーズはシーズンを離れるつもりでいた。もちろん、残る場合と離れる場合、その後のプランも考えていた。幸いなことに、僕には第44代アメリカ大統領を務めた友人がいて、自分たちに電話でアドバイスをくれた」

レブロンやポールらから連絡をもらったオバマ氏は、NBAというプラットフォームを生かすように伝えたという。オバマ氏は当時のことを振り返った。「クリスやレブロンから電話をもらったのは真夜中だったと思う。カーメロ(アンソニー)、それからラッセル・ウェストブルックもいたと記憶しているが、私たちはレブロンが話したことについて意見を交換した」

「抗議行動はある問題に対する意識を高めるのに役に立つ。だがNBA選手の影響力を考えれば、そのことに関して問題提起ができるかどうかプラットフォームを生かしてみたほうが良い。それが私からの提案だった。残念ながら人種問題は一度きりの話ではなく、これからも起こり得る。 私から提案したことの一つは、今起こっている問題を少しでも減らす施策を実行する場所を作ることだった」

オバマ氏から助言をもらった選手会は、リーグとチームオーナーと協議することにした。社会正義を強く訴えた選手会の気持ちを尊重したリーグとオーナーは、人種差別根絶、11月の大統領選挙に関連した活動の実施を約束。その後、シーズンは無事に再開され、レイカーズの優勝で幕を閉じた。

もしボイコット当日にレブロンたちがオバマ氏と話していなかったら、本当にレイカーズは『バブル』を離れ、10年ぶりの優勝を果たす機会を失っていたかもしれない。それどころか西カンファレンス首位だった彼らが『バブル』から立ち去っていたら、追随するチームが続出し、シーズン自体が消滅していた可能性だってあった。

ボイコット騒動を終息させたキーパーソンの一人であるオバマ氏は、NBAのシーズンを救った人物として、今後も語り継がれていく。