杉浦佑成

チームの貴重な得点源として活躍

このオフシーズン、杉浦佑成は大学3年、4年時での特別指定を含め4シーズン在籍したサンロッカーズ渋谷を離れ、島根スサノオマジックへと移籍した。SR渋谷ではローテーションの一員という位置付けだったが、島根では「3ポイントシュートをはじめとした得点能力に期待しています。彼の良さをチームプレーの中で生かせるようにしていきたいです」と鈴木裕紀ヘッドコーチが語るように、日本人選手の貴重な得点源と期待を寄せられている。

そして迎えた開幕節の滋賀レイクスターズ戦、杉浦は初戦で13得点、第2戦で14得点と見事な活躍でチームの連勝スタートに貢献した。しかし、その後は故障により5試合連続で欠場し、10月24日に行われた琉球ゴールデンキングス戦で復帰を果たした。

「2週間練習をやっていなくて、いきなりの試合で不安はありました」と本人が語るように、万全なコンディションを整えての実戦復帰ではなかった。それでも、「コーチが信頼して使ってくれました。そしてチームメートが良いパスをくれて、みんなからの励ましのおかげで思ったよりも違和感なく試合に臨むことができました」と語るように、3ポイントシュート5本成功を含む17得点を挙げ、試合には敗れたが存在感を示した。

久しぶりの実戦で上々の内容を見せただけに、翌25日の試合はより期待が高まったが、3ポイントシュート4本中成功なしの0得点と不発に終わった。「昨日はシュートが入ったので、積極的に狙っていきました。昨日よりも相手のマークが厳しくなると予想していましたが、3ポイントにこだわり過ぎてしまいました。そして、チームとしての流れを今日はあまり作れなかったですし、個で打開しようとしすぎてしまいました」と、チームも連敗を喫し、悔いの残る結末となった。

杉浦佑成

「今までは先輩についていきます、みたいな感じでした」

チームにとっても杉浦にとっても厳しい週末となったが、一方で彼のプレーからは着実な進化も見られた。SR渋谷時代の杉浦といえば、コーナーに構えてのキャッチ&シュート、相手が寄せてきたらゴール下へのドライブが主なパターンだった。しかし、この週末の彼は、1対1からドリブルで相手をかわし、プルアップでの3ポイントシュートを放つなど、得点のバリエーションが増えていた。

ただ、本人にとってはまだ本領発揮とは感じられていない。「オフシーズンからそのあたりは練習していて、もっとやりたいことがたくさんあります。もっとピック&ロールを使いたかったですし、ドライブもあまりできなかったです。チームの流れを崩さないようにしながら、もっといろいろな動きを試合で見せていきたいです」

そしてプレー面に加え、メンタル面でもこれまでと違う部分を出していきたいと意欲を見せた。「みんなに信頼してもらえる選手になりたいです。今までは後輩感を出し、先輩についていきます、みたいな感じでした。チームにはリーダーシップを持つ精神的支柱の選手がいますが、プレーで引っ張っていける存在になりたいと思っています」

島根の開幕節は、ペリン・ビュフォードとリード・トラビスの新加入コンビが不在だった。それだけに今回の琉球戦は杉浦にとって外国籍のフルメンバーと初めて一緒にプレーする機会で、「2度目の開幕のようですごく緊張しました」と語るものだった。

ビュフォード、トラビスに加え、昨シーズンは琉球に在籍したデモン・ブルックスと外国籍トリオは個で打開できる非凡な得点力を持っている。「彼らはとても能力が高く個人のスキルもあります」と杉浦も信頼を寄せるが、「ただ、それに遠慮するのではなく、5人で戦う意識を持っていきたい」と、杉浦は自分も彼らと同じようにチームを牽引していくつもりだ。

「まずはシュートを狙っていく。それがチームで求められている役割です。チャンスがあったら味方を生かすプレーもしていきたいですし、劣勢になった時に下を向かない選手になりたいです」

このようにシーズン中盤戦に向けての意気込みを語った杉浦。昨シーズンの島根には日本人でコンスタントに2桁得点を挙げられる選手がいなかった。杉浦がその存在となり、さらに中心選手としての強い覚悟で、周囲を引っ張っていけるようになれれば、島根はより面白いチームとなる。