広島ドラゴンフライズが突出した『個の力』で延長戦を制す、三遠ネオフェニックスは初勝利に一歩届かず

広島ドラゴンフライズが突出した『個の力』で延長戦を制す、三遠ネオフェニックスは初勝利に一歩届かず

2020/10/26 07:30
グレゴリー・エチェニケ

ケネディ、マーフィー、エチェニケで三遠を粉砕

広島ドラゴンフライズと三遠ネオフェニックスの一戦、今シーズンまだ勝利のない三遠が内容で上回り、リードする時間帯が長かったが、最後に追い付かれて延長戦で力尽きた。

三遠は試合開始から広島の絶対的な得点源であるグレゴリー・エチェニケを徹底マーク、ボールを入れさせないディフェンスを徹底し、ポストアップでボールが入ると必ずダブルチームで囲い込むことでタフショットを強いる。またリバウンドはビッグマンだけが頑張るのではなく、競り合う場面ではビッグマンは手で引っ掛けることを狙い、他の選手が飛び込んでボールを確保した。タフショットを打たせた後、リバウンドを取ってから攻めへの切り替えが速く、一気にフィニッシュまで持ち込む。これをリードするのは太田敦也で、エチェニケ相手のディフェンスに身体を張るだけでなくコート中央を駆け上がることで数的優位を作り出した。

広島のオフェンスはエチェニケに限らず個人が三遠守備陣の待ち受けるペイントエリアに突っ込む傾向が強く、強引に得点を奪うシーンがあっても、素早いリスタートからあっさり取り返されたりと噛み合わない。第1クォーターで三遠が10点リード。これはリバウンドで12-4と圧倒し、トランジションからイージーバスケットを作り出した結果だった。

太田がインサイドでエチェニケを封じる大役をこなし、川嶋勇人が長い腕を伸ばすディナイでボールを引っ掛けては速攻のチャンスを作り出す。アーリーオフェンスで攻め切れなくてもネナド・ミリェノヴィッチとステヴァン・イェロヴァツの2メンゲームは非常に強力で、しかもミリェノヴィッチは個人プレーに走ることなくチームを動かし、攻めが手詰まりになった時だけ自ら打開を図るバランスの良さもあった。

チームバスケットという点で三遠が上回る展開は終盤まで続いたのだが、広島は圧倒的な『個の力』で押し切る。第2クォーターには先発を外れている田渡凌が投入され、シンプルにパスをさばくことで選手とボールが連動するようになったのを機に、アウトサイドで空いたトーマス・ケネディに良い形でボールが回る。ケネディは第2クォーターだけで3ポイントシュート5本を含む、フィールドゴール6本と2本のフリースローのすべてをねじ込む19得点の大爆発で、広島が1点差に詰め寄って試合を折り返す。

第3クォーターは三遠の速いテンポのバスケに再び振り回されたが、それでも主力にプレータイムが偏る相手に疲れが見え、ファウルの数も気になるようになった第4クォーターに個を強調したバスケがハマる。エチェニケへの徹底マークに加えてケネディにも常にイェロヴァツが付く極端なシフトには隙もある。ここをアイザイア・マーフィーが執拗なドライブで突き、さらにはファウルトラブルになった太田をエチェニケが攻め立て、残り1分でファウルアウトへと追いやった。

アイザイア・マーフィー

マーフィーは28得点「勝利に貢献できたことがうれしい」

こうして94-94に追い付かれた三遠の、残り21秒からの最後の攻撃。セットオフェンスを遂行できずにボールを託されたイェロヴァツがエチェニケをステップバックでかわしながら放ったシュートは外れるも、他の選手がボールを見てしまった寸隙を突いて岡田慎吾がリバウンドを抑えてシュートを放つ。しかし、決まっていれば決勝ブザービーターだった1本はわずかに決まらない。

太田がファウルアウトした三遠に、延長戦での勝ち目はなかった。ビッグマンが足りない三遠に対して広島はベンチスタートのジャマリ・トレイラーがインサイドで大暴れ。オーバータイムの5分間は常に広島のペースで、最終スコア115-109で勝利している。

徹底マークを受け続けたエチェニケの28得点を上回ったのは、ケネディとマーフィーだ。三遠のゲームプラン通りの試合を延長戦に持ち込み、そして勝ち切ったのは、この2人の働きが大きい。ケネディは3ポイントシュート6本成功を含むゲームハイの32得点。「ミスを恐れずに丁寧にプレーすることと自信を持ってシュートを打つこと」にフォーカスしたと試合後に語る。チームオフェンスが手詰まりになった時間帯に強引なドライブで相手ディフェンスをこじ開けたマーフィーは28得点。「数字はあまり気にしないが、チームの勝利に貢献できたことがうれしい」と連勝を喜んだ。

三遠は開幕9連敗と、開幕から16連敗を喫した昨シーズンの再現となってしまっている。それでも激しい守備からのトランジションを徹底した今日のパフォーマンスはこれまでとは別物で、プレータイムはもちろんだがファウルがシェアできていれば勝っていたはずの試合だった。

指揮官のブラニスラフ・ヴィチェンティッチも手応えは感じているようで「全員がハードに、できることを出しきった。この結果は次に繋がる」と語る。カイル・ハントとサーディ・ラベナは間もなく合流できる見込み。連敗は続いているが、チーム作りは出だして大きく遅れながらも着々と進んでいる。

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