川崎ブレイブサンダース

接戦を勝ち切る、勝負どころのディフェンス

川崎ブレイブサンダースは10月21日、敵地に乗り込んでサンロッカーズ渋谷と対戦。攻撃では第4クォーターだけで16得点の藤井祐眞、守備ではエースストッパーの本領発揮となった長谷川技が大きなインパクトを与える活躍を見せ、終盤までもつれる熱戦を95-87で制した。

第1クォーターは、両チームとも縦へと積極的にアタックするオフェンスを展開。その効果もあり、3ポイントシュートを川崎が10本中5本、SR渋谷が8本中5本成功と高確率で決める点の取り合いとなる。第2クォーターに入っても接戦は続くが、SR渋谷はチャールズ・ジャクソンがゴール下で優位に立ち確実に得点を重ねる。さらに山内盛久がハッスルバックで相手のシュートを防ぐと、終盤には関野剛平が力強いドライブからバスケット・カウント。攻守のアグレッシブさで上回ったSR渋谷が49-45と逆転して試合を折り返した。

しかし、後半に入ると川崎が守備の強度を強めて反撃を開始。長谷川技がベンドラメ礼生に前からプレッシャーをかけてパスミスを誘発すると、それをパブロ・アギラールがスティールしてそのまま速攻で得点するプレーが連続で決まって逆転する。だが、SR渋谷もすぐに立て直すと田渡修人、盛實海翔の3ポイントシュートなどで盛り返した。

第4クォーターも一進一退の攻防が続き、残り3分、SR渋谷の2点リードで試合は終盤の勝負どころに。ここから川崎は『藤井劇場』が開幕する。3ポイントシュート、スティールから自ら運んでのレイアップ、さらにオフバランスからのジャンプシュートと残り1分24秒で怒涛の7連続得点。これで抜け出した川崎がSR渋谷を振り切った。

連勝を6に伸ばした川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは、勝ちきれた要因としてビッグラインアップの守備面での効果を挙げる。

「最後、ビッグラインナップで勝負していた時間帯に、オフェンスというよりはディフェンスでアドバンテージを生かすことができました。マティアス(カルファニ)がエナジーを出して、ボールを引っ掛けたり、スティールをしてくれました。こういう試合を勝ち切るにはやはりディフェンスが重要で、そこで最後にウチの時間帯を作れたのが大きな要因だと思います」

長谷川技

エースキラー長谷川技、信頼に応える働き

さらに指揮官は、相手のエースであるベントラメを8得点、5ターンオーバーと抑えた立役者としてベテランの長谷川を称賛した。第1クォーターの最初のポゼッション、後半の出だしで激しい密着マークでいきなりベンドラメのターンオーバーを誘っており、「とにかく出だしで先制パンチをする。ディフェンスで先に仕掛けようと入ったところで、長谷川選手が素晴らしいディフェンスでターンオーバーを奪い、相手のエースの勢いを少し止められました」と試合後の会見でいの一番に言及した。

川崎は日本代表の篠山竜青、さらに昨シーズンのベスト5である藤井とタフな守備を持ち味とするガード陣を有する。それでもベンドラメのマークに長谷川をつけたことに、指揮官は「単純にウチのベストディフェンダーをつけました」と絶大な信頼を寄せ、それにエースストッパーが見事に応えた。

試合終盤にはオフェンスになると辻直人、ディフェンスになると長谷川を投入と、状況に応じて頻繁な選手交代を実施。「勝つために最善を尽くすところで、ディフェンスで確実に止めたい時に長谷川、オフェンスをしっかりコントロールして最後はシュートで終えるために辻と、ちょうどプレーが途切れて交代チャンスがあったのでこの使い方ができました。相手がどういうチームであれ、クロースゲームになった時はこういう采配もあると思います」と、指揮官の何がなんでも勝ちにいく姿勢が白星をもたらした。

一方、SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは、「前半最後のポゼッションでミスがあり、それで相手は後半に行けると、流れが変わってしまいました」と、第2クォーター6点リードで迎えた残り5秒からのディフェンスで、コミュニケーションミスからゴール下のパスを通されて簡単に失点したことを悔いる。

また、「ミスの数が多いだけでなく、質が気になります。向こうのプレッシャーはキツいですが、安易にパスをしてしまっています。仕方ないでは許されない凡ミスが多かったです」と課題を挙げる。

これでSR渋谷は3勝4敗と再びの黒星先行。伊佐ヘッドコーチが「気になります。今日も眠れないです」と語るように、接戦を落とす試合が続いている。ただ、同時に指揮官は「日々、成長をすごく感じているので焦ってはいないです。今はやり続けるしかないです」とチームの歩みには手応えを得ている。

いよいよ元NBAウォリアーズの期待の新加入ジェームズ・マカドゥのデビューも期待される中、今週末には敵地で難敵の宇都宮ブレックスと対戦。この2試合を乗り切ることができるのか、SR渋谷にとってはシーズン序盤の大きな踏ん張りところだ。

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