朝山正悟

接戦での負けは「小さな差であり大きな差だと感じています」

10月9日、広島ドラゴンフライズにとって待ちに待った日が訪れた。B1での初めてのホームゲーム開催、広島サンプラザホールには約2000人のファンが駆け付けた。本来であれば4500人の大入りが期待されたところだが、新型コロナウイルスの影響で収容人数を制限するのは仕方のないこと。迎えたのは『王者』アルバルク東京と相手に不足なし。71-80で敗れたが、終盤まで競った展開での惜敗。ファウルトラブルで失速とチームの成熟度の差が出たが、B1で戦うポテンシャルがあることを十分に示す内容だった。

NBL時代からチームを引っ張る朝山正悟は「久しぶりにホームで試合ができたことが有意義な時間でした。たくさんの人に足を運んでいただいたので、何とか勝ち試合をお見せしたかった」と語る。

しかし、接戦のようでA東京とはまだまだ差を感じさせられたのも事実。「自分たちもやれた部分はいっぱいあるし、良い流れだった部分もあると思うんですね。でも最後にアルバルクさんが嫌らしい攻め方をしてきて、勝ち方を知っているバスケットをされて、そこが自分たちにとっても苦しい時間帯でした。残り4分を切ったあたりから、最後の競ったところでの勝ち方を知っている。こっちは逆にターンオーバーになってしまった。小さな差であり大きな差だと感じています」

「上手く行っている時は何をやっても上手く行く。その流れは一つ強みでもあるし、その勢いはどの舞台でも通用すると思います。でもやはりそこじゃなくて、1試合でどうこうなる問題ではないかもしれないですが、経験を積みながら成長していかないと。勝てそうだけど勝てない試合じゃ意味がない。最後に勝ち切る実力を身に着けないといけないと思います」

A東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチは連勝したにもかかわらず、広島のポテンシャルを高く評価して、こうコメントしている。「作り込まれた良いチーム。勝つために必要な経験もあり、優れた若手もいて、オフェンスの能力の高いチームだと思っている。Bリーグのどこのチームにも勝てる可能性がある」

それでも広島としては、ホーム開幕戦でA東京と対戦した、そこで戦える手応えを得ただけで終わるのではなく、B1トップのチームとの差を体感したことを今後の糧にしなければならない。

もっとも、朝山はそれを理解している。「やれるやれない、って意味ではどのチームとも僕らはやれると思うんですけど、それを証明しにB1の舞台に来ているわけではなくて、勝たなきゃ意味がないと思います。今日負けてしまったことは、自分たちの今の実力はここだよ、ということ。でもまたここから今日の敗戦を踏まえて、次に成長していかないといけない。通用したことはたくさんあると思いますが、勝ち切った時に『やれた』と言えると思うので、今日に関しては自分たちはまだまだ足りなかった、そう言わざるを得ないと僕は理解しています」

開幕2節で1勝3敗。今週末はアウェーで川崎ブレイブサンダースと難しい試合が続く。ただ、長いシーズンを挑戦者として戦う上で、朝山のメンタルの持ち方は非常に大切なものだ。一朝一夕で強くなるのは非現実的。レギュラーシーズン60試合の中で、勝ったり負けたりを繰り返す中で、個々が何を感じ取り、チームとして成長できるか。それを引っ張っていくのが、朝山の大事な役割となる。