ジュリアン・マブンガ

ディープスリー連発、旧友サイモンとのマッチアップに勝利

富山グラウジーズは浜口炎ヘッドコーチを迎え、選手も大幅に入れ替えた新チームで2020-21シーズンを戦う。初戦はハンナリーズアリーナでの京都ハンナリーズ戦。浜口ヘッドコーチ、また新たなエースであるジュリアン・マブンガは、開幕戦でいきなり古巣と戦うことになった。

新型コロナウイルスの影響で新外国籍選手の合流が遅れており、富山の外国籍選手はマブンガただ一人。日本人ビッグマンも橋本晃佑だけ。京都はデイヴィッド・サイモンに加えて短期契約でジョーダン・フェイゾンが合流しており、永吉佑也もベンチに控えているため、ゴール下での攻防では不利が予想された。

それでもガードとフォワードのアタックできる人材は豊富。両チームとも3ポイントシュートがなかなか決まらない中、京都がインサイドの強みを生かすかと思えば、リードしたのはむしろ京都だった。マブンガが序盤からシュートタッチ好調なことに加え、宇都直輝が積極的なプレーを披露。攻め手を失った時、ショットクロックが残りわずかな時と、チームが苦しい時に宇都がパスを要求しては自ら仕掛けて、オフェンスを牽引した。

不安視されたディフェンスでも、ゾーンを織り交ぜたり、突如としてオールコートディフェンスを仕掛けて相手のターンオーバーを誘うなど、受け身に回らず仕掛けていくことで先手を取る。

それでも、インサイドの駒が手薄なことは終盤に響いてくる。富山は後半に入っても10点前後のリードを保って試合を進めていたが、第3クォーターの残り1分半に橋本が個人ファウル4つでベンチに下がる。そして第4クォーターに入り、水戸健史がドライブレイアップを沈めて73-63とリードを広げたまでは良かったが、橋本に続いてマブンガもファウルトラブルになるわけにはいかず、さらに宇都をベンチで休ませたこともあって京都の猛反撃を浴びた。サイモンとフェイゾンに執拗にインサイドを突かれ、オフィシャルタイムアウトの時点で79-79と追いつかれた。

しかし、ここでマブンガが奮起する。マブンガはサイモンとフェイゾンに交代でマークされていたが、アウトサイドまでは付いてこないのを見て、2本連続のディープスリーを沈めて突き放す。これで京都が慌てた隙を突き、宇都がファストブレイクを連発。先発に抜擢されながらタッチが悪く3ポイントシュートでは貢献できなかった若い松脇圭志と前田悟は、この勝負どころでディフェンスとリバウンドで身体を張る。宇都がマブンガにアタックさせるためにスクリーンを掛けるシーンもあった。

序盤こそパスを回してゲームメークの意識のあったマブンガだが、終盤はほとんど自分で運んで仕掛けるワンマンプレーに。それでもチームメートは総じてシュートタッチが悪く、レイアップまで持っていける宇都を除けば得点が伸びていない状況で、マブンガはひたすら自分で攻めては次々とシュートを沈め、最終的にはフィールドゴール25本中16本を決めてBリーグでのキャリアハイとなる46得点を挙げている。

京都ではサイモンとフェイゾンが2人で50得点を挙げたものの、日本人選手が続かず。20得点を挙げた寺嶋良が第4クォーターで足を痛めて失速するアクシデントも痛かった。結果、富山が97-89で勝利。周囲のサポートを受けたマブンガが大活躍したことで、京都とのスリリングな打ち合いを制した。