コロナを乗り越えWリーグが開幕、富士通を撃破したENEOSの渡嘉敷来夢「見ている人に元気や勇気を」

コロナを乗り越えWリーグが開幕、富士通を撃破したENEOSの渡嘉敷来夢「見ている人に元気や勇気を」

2020/09/19
渡嘉敷来夢

富士通に押される時間帯、ディフェンスから押し返す

9月18日、大田区総合体育館でWリーグが開幕。『女王』ENEOSが苦戦を強いられながらも富士通に77-60で勝利している。

両チームのスピードに乗ったプレーから試合は始まり、そこから相手チームの長所を消しては別の持ち味をお互いに出していく見応えのある攻防に。先手を取ったのは富士通で、司令塔の町田瑠唯がアーリーオフェンスを作り出す。対するENEOSは宮崎早織が町田に負けないぺースで攻撃を演出し、スピード勝負に応じた。富士通は篠崎澪を投入してさらにペースを上げるが、第1クォーターを制したのはENEOS。渡嘉敷来夢の10得点、特にオフェンスリバウンドからの得点が28-23と5点差のスコアに表れた。

しかし、その後は富士通が主導権を奪い返す。最初にスピードで仕掛けた富士通が、第1クォーター終盤からインサイドで身体を張るオコエ桃仁花と田中真美子の奮闘でリバウンドの不利を埋め、ENEOSのリズムを狂わせる。第2クォーター開始から、堅守からトランジションに転じる富士通が5-0のランで追い付き、ENEOSのタイムアウト明けも篠崎がタフショットをねじ込んで逆転に成功した。

ENEOSは渡嘉敷の得点が止まり、宮澤夕貴もシュートタッチが悪く、第2クォーターは9得点と失速。それでもこの間に渡嘉敷が「ついていれば(相手のシュートは)落ちてくるから」とディフェンスでの発奮をチームメートに求め、中田珠未や藤本愛瑚といった若いメンバーが身体を張ることで難しい時間帯に崩れなかった。「相手に決められてもディフェンスすることができた」と、渡嘉敷はこの粘りを評価する。

宮崎早織

ポイントガードを務めた宮崎「楽しみたい思いが強かった」

1点ビハインドで迎えた後半、ENEOSが巻き返す。前半は速いペースこそ作ったがシュートミスが多くターンオーバーも目立った宮崎が見事なアジャストを見せ、富士通を受け身に回らせてパスをさばいてチャンスメーク。こうして良い形でパスを受けた林咲希、渡嘉敷が得点を重ねていく。対する富士通は、速いペースを作ろうとする意識が焦りを生み、190cmの梅沢カディシャ樹奈が待ち構えるゴール下に強引に仕掛けて自らリズムを崩した。

前半は苦戦を強いられたENEOSだが、一度流れを作ってしまえば『女王』らしさが出てくる。第3クォーターを終えて渡嘉敷が一度ロッカールームに下がり、第4クォーターはプレーしなかったが、それでも残った選手が落ち着いたプレーを披露。渡嘉敷不在の状況で梅澤はオフェンスでも存在感を見せて次々とゴール下のシュートを決めていく。逆に富士通は前半にアグレッシブなプレーを見せた若手が沈黙。篠崎が何とか状況を変えようと奮闘するも、ENEOSを慌てさせるには至らなかった。

ただ、ENEOSも緊張感のある開幕戦を勝ったことで雰囲気は良い。吉田亜沙美、藤岡麻菜美が引退したポイントガードのポジションを託された宮崎は、18得点7アシストと上々の活躍。「正直すごく不安でしたが、今までやってきたことを出すだけでした。宮崎じゃダメじゃないかって多分誰もが思っていた中で、その中で第1クォーターに持ち味が出せたのはすごく良かったんですけど、まだ我慢する場面でミスが出たりしたので、明日は落ち着いてプレーしたい」と試合後にホッとした様子で語る。

昨シーズンも先発ポイントガードを務めたが、ベンチには準備万端の吉田が控えていた。その吉田がいなくなった今は、勝敗にかかる責任が圧倒的に大きい。極限まで緊張したようだが、コートに立てば自分のプレーを出すことができた。「今日はすごく自然と、あまり緊張せずに『楽しみたい』という思いがすごく強かったです。今までのENEOSのガードはリュウさん(吉田)もネオさん(藤岡)もパスが上手かったんですけど、私の持ち味はスピードなので、そこは2人とは違って点を取っていける選手になりたい」

自分らしいプレーを思い切って出す中で、課題も理解できている。「ボールを持つことがすごく多かったので、もう少しウイングにさばいて自分がボールを持たない時間を作った方がテンポが良くなり、チームの流れも良くなったんじゃないかと思います。自分がすぐボールをもらいにいった部分は反省しているところです」

篠崎澪

オコエ「明日に繋がる良い試合だった」

吉田の退団でチーム最年長となった渡嘉敷は、新たなポイントガードである宮崎のプレーを頼もしく見ていた。「パスは出せるしコミュニケーションを取れるのは本当に強み」と評価する一方で、宮崎が言うボールを持ちすぎる部分について「自分も攻めずにすぐ宮崎を呼んでしまった。そこは自分の反省でもある」と擁護もしている。

苦しい試合にはなったが、クォーターが進むにつれて富士通の勢いを巧みにかわし、自分たちの強さを発揮する『女王』らしいバスケで開幕戦をモノにした。なおかつ、最初の試合で選手たちが自信を得られたのは大きく、ここからさらにチームが良くなっていく気配もある。そんなENEOSに対して富士通がそれ以上のステップアップを見せられるか。

渡嘉敷とのマッチアップで奮闘したオコエは「ファウルアウトしたらダメなので、頭を使ったバスケットを意識してディフェンスしました」と振り返る。敗れはしたが良いプレーも多く、「第3クォーターでこちらが疲れてしまって相手にブレイクを出されてしまいましたが、でも明日に繋がる良い試合だったと思います」と、今日の第2戦に手応えは得られた様子だ。

新型コロナウイルスは終息したわけではなく、感染予防に気を配りながらのシーズンとなる。ソーシャルディスタンスを保つことで客席の一部しか使えず、チケット完売でありながら来場者数は489人と少なかった。それでも渡嘉敷はこう語る。「少しでもお客さんが入っていただけるのは選手としてはうれしい。見ている方々のご声援を力に。また私たちのパフォーマンスで見ている人に元気や勇気を与えることができればと思います」

Wリーグは今日が本格的な開幕。東ではENEOSと富士通の第2戦を含む3試合、西はウィングアリーナ刈谷を舞台に3試合が行われる。

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