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レブロンとの『エース対決』では完敗を喫する

4年連続でウォリアーズとキャバリアーズの顔合わせとなったNBAファイナル。その初戦はオーバータイムの末にウォリアーズが勝利した。先勝したことは非常に大きいが、それ以上に接戦に持ち込まれてホームゲームを落とさなかったことに意義がある。

しかし、勝利の喜びに一人乗り損ねたのがケビン・デュラントだ。46分の出場で26得点9リバウンド6アシスト。個人スタッツは決して悪くはないが、試合を通じての印象は決して良くない。それはエースとして、レブロン・ジェームズとの差がはっきりと出たからだ。レブロンは51得点8リバウンド8アシスト。チームが苦しい時の『1本』を決めるクラッチプレーでも明暗が分かれた。

デュラントはコンディションに問題があったのか、それともファイナルで硬くなったのか、とにかく本来のプレーができていなかった。おそらくはロケッツとのカンファレンス決勝での疲労が抜けていなかったのだろう。動きの重さは特にディフェンスで顕著で、相手のドライブにフットワークでついていけないシーンが目立った。またシュート確立も上がらず、フィールドゴール22本中8本成功、イージーシュートのチャンスを作ってもらえば決めたものの、苦しい状況で託されたシュートはほとんど外した。ここがレブロンとの決定的な違いである。

勝った試合の会見にもかかわらず、デュラントには厳しい質問が投げかけられた。レブロンとの比較についてデュラントは「彼と僕では立場が違う」と素直に差を認め、こう弁明した。「僕はまだ学び、成長する段階にいるけど、レブロンは僕よりずっと経験がある。でも、個性も経験も異なる選手がコートで戦う、そこがバスケットボールのそこが面白いところじゃないか」

シュートが入るか入らないか、レブロンに勝てるか勝てないか。「それは僕にコントロールできることじゃない」とデュラントは言う。「チームにおける自分の役割は理解している。優勝するためにできる貢献をしようとしている。それが自分にできるすべてなんだ」

「誰がどう言っているか分からないけど、とにかく自分たちへの疑念を払拭したい。これまでやってきたようにね。人は誰しもそうやってきた。人生にはいろいろあるけど、それをエネルギーにして奮起するんだ。同じように、僕はどうやってこのシリーズに勝つかに集中したい」

そして、個人ではなくチームで戦っているのだとデュラントはあらためて強調。「チームを勝たせることより自分のプレーを意識したりはしない。僕たちがやっているのはチームスポーツだ。チームのため、それが勝つためのすべてだよ」

『レブロンvsデュラント』という視点はあくまでメディアやファンが作りだしたもので自分には関係ない、というのが彼の考え。ただ、彼が言う『バスケットボールの面白さ』の一つにエース同士の勝負は含まれる。ファイナルが一発勝負であれば「レブロンの勝ち」で終わっていたこの勝負だが、最大7試合で行われるシリーズでは真の実力が試される。デュラントも本心では、レブロンに負けっぱなしのまま済ますつもりはないはず。現地3日の第2戦に向けて、まずはコンディションをいかに戻すか、デュラントの逆襲が待たれる。