スターチーム増加の批判に対し、JJ・レディックが持論を展開
2016/07/17

写真=Getty Images

戦力均衡を望むNBAコミッショナーの私見に反論

NBAコミッショナーのアダム・シルバーによる、「小規模なマーケットのチームであっても、潤沢な資金を持つチームと対等に戦える環境が望ましい」という旨の発言が話題となっている。戦力均衡という面があるのはもちろん、スター選手が優勝を目指してチームを引っ張るよりも、勝てるチームへの移籍を選ぶ安易な姿勢に苦言を呈しているとも受け取れなくはない発言だ。

これに対し、クリッパーズのJJ・レディックが、Twitterで持論を展開している。

「マイアミが2010年に『スーパーチーム』を結成してからの6シーズンで、異なる5チームが優勝している。競技レベルのパワーバランスに対する不満は、取るに足らないものだ」

「2008年にはボストン(セルティックス)が『スーパーチーム』を結成したけれど、それはチームのトレードで生まれた。チームが素晴らしい2選手を獲得してグループを組むのは良いのに、選手が同じ決断を下すのはダメなのかい? 選手にだって、自分が好きなチームでプレーする自由が与えられるべきだ」

2010年以降も優勝チームに極端な偏りは見られない

レディックが主張する通り、ヒートがレブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュの『スリーキングス』を誕生させた2010年夏以降も、特定のチームがNBA優勝を独占しているわけではない。この6年の優勝チームは、マーベリックス(2010-11)、ヒート(2011-12、12-13)、スパーズ(2013-14)、ウォリアーズ(2014-15)、そしてキャバリアーズ(2015-16)となっている。

レディックが例に挙げたセルティックスの補強を見てみよう。結果的にケビン・ガーネット、ポール・ピアース、レイ・アレンによる『ビッグ3』を形成したセルティックスだったが、そこに至る過程は大博打だったと言っていい。2008年オフ当時、ティンバーウルブズに所属していたガーネットが求めていたのは「優勝を狙える環境」だったが、セルティックスの08年オフ時点のロスターを見れば、有力な戦力と言えばエースのピアースくらいのみで、優勝を目指すには不十分だった。

しかし、セルティックスがスーパーソニックス(現サンダー)からピュアシューターのアレンを獲得すると、潮目が急激に変化。ガーネットもセルティックスへの移籍に前向きになり、5選手とドラフト指名権2枠との交換でウルブズとのトレードが成立。こうして08-09シーズン優勝チームが完成したというわけだ。

5選手とドラフト指名権2枠をも交換条件に差し出してガーネットを獲得したセルティックスのなりふり構わぬ手法は、資金力にモノを言わすのではなく巧みな移籍戦略と見なされた。さらには、ガーネット、ピアース、アレンの3選手が、それまでのキャリアで勝てないチームを引っ張った苦労人だったこともあり、スター集中の批判が出ることもなく、むしろ全米がビッグ3旋風に沸いたと言える。

それに比べるとヒートには世論の風当たりが強かった。ジェームズ、ウェイド、ボッシュによる『スリーキングス』結成がNBAファンから受け入れられなかった要因は、キャリア全盛時のジェームズ、ウェイド、ボッシュが、「優勝」という目的のためヒートに集結したからだった。また、ジェームズとボッシュが、フランチャイズを代表する立場を放棄したことも批判の対象になった。

閑話休題。フリーエージェントとなったケビン・デュラントは、ラッセル・ウェストブルックとのチームの成長に限界を感じ、ウォリアーズへの移籍を決断。勝てなければ叩かれ、負けても擁護されない環境に、自らの意思で飛び込んだ。良い悪いの問題ではなく、彼は選手として得た権利を行使しただけのことだ。

レディックの主張にもある通り、スターを集めたからと言って優勝できるとは限らない。ウォリアーズが勝てると決まったわけでないのと同じく、サンダーは失ったものこそ大きいが、遅かれ早かれ新たなスターが必ず誕生するだろう。それがプロスポーツ界の常なのだから。

選手の権利や希望、チーム作りにおいてのアプローチなどなど、どういう状況においても、選手、ヘッドコーチ、フロントにとっては、コート上での結果がすべて。スター選手を取り巻く状況に限って言えば、移籍か残留という選択肢のどちらを選んだとしても正しい答えなどない、ということなのかもしれない。

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