ポール・ジョージ

ジャズとの死闘を戦い抜いたナゲッツはエネルギー切れ

西カンファレンスセミのファイナル第1戦、クリッパーズvsナゲッツは、カワイ・レナードが32分間で29得点を挙げたクリッパーズが120-97で圧勝した。

クリッパーズはレナードの他にもポール・ジョージが19得点、マーカス・モリスが18得点を記録。チームのフィールドゴール成功率は57%と高かった。指揮官のドック・リバースは試合後「戦術を実行できなければ痛い目に遭う。一つひとつのプレーに激しさと集中力が必要だ。プレーオフ序盤ではそれが理解できていなかったが、今はそれができている」とコメントした。

序盤から両チームともディフェンスで激しさを見せるが、裏を取られてイージーシュートを打たれる場面も多く、速いペースでの打ち合いとなり、第1クォーターは31-31と互角の攻防に。しかし、第2クォーターに入ってクリッパーズがディフェンスを立て直して、ナゲッツの攻めの起点にもフィニッシャーにもなるニコラ・ヨキッチをシャットアウト。ファーストラウンドでは異次元のスコアラーぶりを見せたジャマール・マレーも疲れからか動きが重く、ディフェンスで主導権を握ったクリッパーズが38-20のビッグクォーターを作ってナゲッツを圧倒した。

後半も勢いの止まらないクリッパーズが17-2のランでリードを広げると、第3クォーター終わりにナゲッツは主力をベンチに下げて白旗を掲げた。

19得点を挙げたポール・ジョージは「すべきことに集中できたと思う。今まででベストの試合ができた。細部への配慮も素晴らしかった。ゲームプランに沿って戦えた」と完勝に満足気な表情を見せる。スコアリーダーこそレナードに譲ったが、ジョージはフィールドゴール13本中6本成功、ファーストラウンド序盤のスランプからは完全に抜け出したようだ。

プレーオフに入ってシュートが好調なモリスはこの試合でも5本中4本の3ポイントシュートを成功させた。「ファーストラウンドは手探りだったけど、今になってやっと本調子をつかんだ。楽しく試合ができているし、僕らはコート上でどうプレーすればいいか知っている。僕らに勝つのは難しいんじゃないかな」

この試合では、ケガで2週間近く戦列を離れていたパトリック・ベバリーが復帰。スターターとして出場し、いきなり3ポイントシュートを2本成功させるなどプレータイムは12分間と制限されたが、試合の主導権を引き寄せる大きな働きを見せた。

「試合に出るのと出ないのでは全然違う。出ていれば試合に集中できるけど、出れないときはプレーしたくて仕方ないからね」とベバリーは言う。彼もまたここから調子を上げていくだろう。ヘッドコーチのドック・リバースはベバリーについて「ディフェンスでチームを引っ張るリーダーだ。誰をカバーするか指示を出し、チームメートに責任を持たせる。試合開始から彼の声があるのはチームにとって非常に大きいんだ」と語った。

ナゲッツは試合が進むごとに勢いを失う完敗を喫した。「今日は相手の方がアグレッシブだったし、僕らにはミスが続いた。何もかも上手く行かない日だった。でもここから良くなれるはずだ」とヨキッチは言うが、ジャズとのファーストラウンドでGAME7までの死闘を繰り広げたことで余力は残っていなかった。もともとケガを抱えて『バブル』に来て、何とかプレーオフに間に合わせた選手も多く、中1日でのゲームが続く中でフィジカルコンディションを取り戻すのは簡単ではない。第4クォーターを待たずして敗戦がほぼ決まった試合は、単なる1敗以上に重みのある敗戦となった