アンドレ・イグダーラ

「誤った行動をとった人たちに責任を課すプロセスの一部」

8月26日、NBA選手会は社会正義の実現を世の中に強く訴えるため、プレーオフ3試合のボイコットを実行に移した。この翌日、アメリカ合衆国大統領のドナルド・トランプが「NBAはまるで政治団体のようだ。好ましいことではない」と発言したことが物議を醸している。

トランプ大統領の発言を受け、選手会副会長の一人、ヒートのアンドレ・イグダーラが反論。『CNN』の番組に出演したイグダーラは、大統領の発言に関して聞かれると、落ち着いた口調で持論を述べた。

「もし自分と同じ境遇の人たちが、我々黒人が数百年味わってきたような経験をしたらどう思うだろう? これは政治的な課題というより、より人間的な話であって、人類にとっての課題だ」

「だからこそ、僕たちはエンターテイメントビジネスをストップしてまで訴えなければいけないと考えた。これは、誤った行動をとった人たちに責任を課すプロセスの一部なんだ」

選手会の行動により、NBAとチームオーナーサイドも動いた。リーグは現地29日からの試合再開を発表したのと同時に、社会正義の実現、11月の大統領選挙に関連した活動、警察と刑事司法改革など幅広い問題に取り組んでいくと宣言した。

プロスポーツリーグであるNBAが、ここまで政治的な問題に首を突っ込むのは異例と言える。しかし、イグダーラが主張するように、根本には制度的な人種差別という問題をはらむなど、人間としての在り方が問われている。

選手会が試合をボイコットしてまで行った主張を重く受け止めたNBAは、アメリカが抱えている問題と向き合う覚悟を決めた。