トヨタ自動車アンテロープスは先日、代々木第一体育館で行われた『BASKETBALL ACTION 2020』の参加を辞退した。そこでファンに元気な姿を見せることができなかった彼女たちは、アンテロープスオリジナルの方法で『Antelopes 3×3 Special Game』を配信し、元気な姿をファンに伝えた。試合だけでなく、自分たちのやり方でファンを楽しませるアンテロープスを代表して、三好南穂と馬瓜エブリンに『Antelopes 3×3 Special Game』をすることになった経緯などを聞いた。
三好「U23の世界でどれだけ強くても、勝ちたいなというのはありましたよ」
──まずは『BASKETBALL ACTION 2020』のことを聞かせてください。お2人は自宅で見ていたと思いますが、女子はハイテンポなゲームを展開していました。
エブリン 一人のファンとして面白いなと思いながら見ていました。もうみんなのファンになっていましたよ(笑)。
三好 みんなめっちゃシュート入っていたので、私は「スゴッ!」っていうのと、リーグの開幕も近いから「え、みんなこんなに仕上がってるの?」って(笑)。思わなかった?
エブリン 確かにちょっと不安になったよね(笑)。確率もみんなすごかったし。
三好 誰がじゃなくて、全員が入っていたもんね。
──では、『Antelopes 3×3 Special Game』について聞かせてください。今回この企画を行った理由を教えてください。
エブリン 結果的にはチームから新型コロナウイルスの陽性者は出ませんでしたが、『SHOWCASE』にも出られなくて、周りから見ると私たちが落ち込んでいるように見えているかもしれない、というのがあって。
──確かに、リリースが出た時は「大丈夫かな?」と心配になりました。
三好 なりますよね。なので、元気だぞっていうのを皆さんにお伝えしようということで行いました。最初はチームの部長から何かできないかなと提案をしてもらったところから始まり、その後に選手で話し合って。5対5だとリーグ前でフォーメーションとかいろいろとあるので、ショーケースに出られなかったメンバーもちょうど6人だったので3×3をやろうと。
エブリン ただ6人だけじゃなくて、私たちはみんな元気なので、チームメートに応援という名のガヤ係として参加してもらいました。
──動画を見て、あらためて皆さんが元気なことが伝わりました。エブリン選手は3×3は初挑戦ですか?
エブリン 初めてですよ。ルールも全く分からなくて、その前にレクチャーを受けたんですけど、結局何も覚えずに挑みました。その結果、自分の動きはほとんどテクニカルらしいです(笑)。
三好 3×3は切り替えが速くて、すぐにスタートしないといけないんですよね。ゲーム中に打ち合わせして試合が進まないのはテクニカルファウルなんです。
──なるほど。アンテロープスには3×3で活躍する選手も多いですが、実際に初挑戦してみてどうでしたか?
エブリン 自分にはちょっと向いてないなかあと思いましたね(笑)。やっぱりあの切り替えの速さにどうしても頭がついていかなくて。3人しかいないからみんながボールに触る機会があってシュートを決めても、またすぐに決められちゃうし。これはキツいな、できんなと(笑)。
三好 でも、最後にステ(馬瓜ステファニー)が喜ぶからその隙を狙って、 私たちが勝っちゃいましたね。まだまだだなって(笑)。ただ、3×3をやったことがない2人と私でしたけど、やっぱり年齢が上なんでね。U23の世界でどれだけ強くても、勝ちたいなというのはありましたよ。
エブリン こわっ(笑)。
──U23の3×3ワールドカップチャンピオンに勝ったということは……?
エブリン 私たちが世界一ですよ。
三好 暫定世界一ですね。
三好「あのトラベリングを見ることはないと思いますよ(笑) 」
──実は配信された日曜日に動画を見ることができなくて、月曜の朝一で見させてもらいました。試合展開が面白かったのはもちろんですが、三好選手の華麗なるトラベリングを見て、月曜の憂鬱さが吹っ飛びました(笑)。
三好 やばい(笑)。あの時のことを説明すると、3×3ってシュートが入ったら一度、3ポイントシュートラインの外に出ないといけないじゃないですか。それで(長岡)萌映子が外にいたからパスを出そうと思い踏み込んだんですよ。そしたら萌映子がバックカットしたので、私はボールを持ったまま着地しました(笑)。
エブリン 自分はあの時、後ろを向いていたから何が起きたのか分からなくて、気が付いたら相手ボールになっていたんです。だから、どういうルールなのかな、と思っていました(笑)。
三好 経験者が一番下手だったかもしれないですね。なかなか5人制でも3人制でもあのトラベリングを見ることはないと思いますよ(笑)。
──今回は3×3の配信を通してファンの皆さんに自分たちが元気であることを伝えたと同時に、皆さんに元気も届けられたと思います。
エブリン そうですね。シーズンが中止になった時も自分たちの5対5のゲームを配信したことがあったので、少しずつこうやって自分たちの活動を公開していくことに慣れて来たというか。バスケットを通じて発信できるのが、すごく楽しかったですね。どう?
三好 私も今回、こうやって皆さんに元気を届けたいという気持ちがありました。SNSなどの反応を見ても、それが届いた実感もあるのでやって良かったと思っています。それにエブリンたちとはなかなか3×3をする機会もないので、そういうメンバーとできたことも楽しかったですね。ただ、今回の企画を告知した時に思いのほか盛り上がっちゃって、それがプレッシャーでした(笑)。
エブリン うん、誰しもがあれはプレッシャーを感じたね。自分たちのこの内容で行けるのか?って(笑)。
──お2人のチーム名『Team Haction』も気になりました。
三好 最初は普通に3人で考えて他のチーム名をつけていたんです。その後に、U23の3人にチーム名を聞いたら「Team Actionです」って言うから、じゃあこっちは『Team Haction』にするか、みたいな(笑)。
エブリン ふざけすぎだよね(笑)。
三好 もともとの名前も『Team Passion』だったから、それもそれだけどね。ただ、まずはU23よりは笑いを取りたいなっていう。
エブリン そこからが勝負だからね。いかに自分たちが目立って面白いことを取るかという。
エブリン「落ち込むのではなくて、これからも前向きに」
──では、3度目の挑戦となった『全国学生フリースローチャレンジ』についても聞かせてください。今回は敏腕プロデューサーのお2人もプレーヤーに回り、34本を記録しました。
エブリン この間、自分たちが言った通りですよ。
──ただ、ちょっとソーシャルディスタンスが……。
エブリン やっている時は気が付かなくて。回転を速くして打つ回数を増やせば行けることに気が付いたので、ちょっと回転を速くしたらああなりました(笑)。
三好 ちょっと負け嫌いが出ちゃったね。チャレンジが終わった瞬間は「これ行けた!」みたいな感じで達成感に溢れて、本当にうれしかったんですよ。だから動画を見るまでは手応えもめっちゃあったのに、見返したらしっかりライン内に入っていたっていう(笑)。
エブリン そうそう。動画を見るまでは「自分たちやっぱすごいわ! 有言実行だ」と思っていたのに(笑)。
三好 ね。で、その後いろいろな方から「ディスタンス保ててないじゃん!」というお言葉をいただき……(笑)。
エブリン 見れば見るほど、こりゃダメだなってね(笑)。
三好 でも、自分たちでもディスタンス保てていなかったことは認めてますから! ただ、良い子はマネしないでねっていう。
──オープン参加ですしね(笑)。
エブリン 学生には私たちの勝利に対する貪欲さを受け取ってほしいです。
三好 そうそう。私たちはそれを伝えたかったんですよ。
──いよいよリーグ戦開幕まで1カ月を切りました。新シーズンはどのようなバスケットを展開していくのでしょうか?
三好 そうですね。私たちも早くアンテのバスケを皆さんに見せたいです。昨シーズンの最後の方は結構できていたんですが、速いバスケでどんどん前に走る。そこをもっと出していきたいです。
エブリン 性格も含めて攻撃型の選手が多いチームなので、そういった部分を良い方向に生かしていきたいです。みんなが外からも中からもプレーできるチームなので、そこを速さにプラスして最強になっていきたいです。
──では、最後にファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
エブリン この状況はすぐには変わらないと思います。一人ひとりの意識はすごく大事ですが、もし周りや自分が感染してしまっても落ち込むのではなくて、自分たちの元気な姿を見てもらったりして、余計に元気になってほしいです。落ち込むのではなくて、これからも前向きに、そしてバスケットを応援してほしいです。
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