京都ハンナリーズ躍進の立役者となった伊藤達哉が語る、欠場した仲間への思い「恩返しができなくて悔しい」

2018/05/14
Bリーグ&国内
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文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「本当に最後まで出し尽くした」

京都ハンナリーズはアルバルク東京とのチャンピオンシップ、クォーターファイナル第2戦に敗れ、シーズンを終えた。昨日の試合はジョシュア・スミスとジュリアン・マブンガの主力選手を2人を欠く厳しい布陣となったが、最後まで戦う姿勢を貫いて接戦を演じた。

マーカス・ダブとともに18得点を挙げた伊藤達哉はパスカットからワンマン速攻を何本も決めるなど、攻守ともにアグレッシブにプレーしてチームを盛り立てた。

「負けたら終わりという中で自分たちはプレーしていたので、気力だったり、気迫を見せつけたかったんです」と気持ちで戦ったことを主張する。

平均16.8得点のスミス、平均15.6得点のマブンガが欠場したことで、オフェンスは特に苦労した。「アルバルクさんと違ってアタックできる選手が限られていました。そこは自分だったり、片岡(大晴)選手だったりが積極的にゴール下までドライブして、そこから周りを生かしたかったんですけど、ディフェンスも思った以上でした」

伊藤は第1戦で33分弱出場し、「実際、今日の第1クォーター、残り2分くらいで自分から交代を求めました。そこぐらいから結構キテましたね」と体力の限界を早い段階で感じていたことを明かした。それでも第2戦のプレータイムも30分を超え、最後まで足を動かし続けた。

それだけのフル回転を続けても、京都は2度20点のビハインドを背負った。試合巧者のA東京を相手に20点のビハインドは限りなくデッドラインに近い。それでも京都は何度もカムバックした。特に最終クォーターでは、体力も限界に近づく中でもアタックし続け、伊藤は10得点を挙げている。

「最後の最後、4クォーターはもう積極的に自分で攻めようというのは決めていたので。自分だけじゃなくてチーム全員が本当に最後まで出し尽くしたんじゃないかなというのは感じました」

フル回転したシーズン、手にした自信

昨シーズンから9勝を上乗せし、初のチャンピオンシップ出場を勝ち取った京都の躍進は、一つのサプライズだった。様々な要因はあるが、出場した56試合すべてに先発で起用された伊藤の存在が大きいのは言うまでもなく、その活躍ぶりは新人王に選出されてもおかしくはない。

「このシーズンで身に着いたのは自信ですね」と伊藤はスッキリとした表情で充実のシーズンを振り返った。「レギュラーシーズンとチャンピオンシップを含めた62試合。本当に多くの経験をさせてもらいました。最初の方はいろいろと葛藤もありました。外国人とのコミュニケーションだったり、行けるところを遠慮して行かなかったり。そういったところを今日、最終的に体現できたというのは自分の中で一番大きかったです。後はシュートの精度だったりをこれから身に着けられればなと思います」

伊藤の台頭もあり京都はレギュラーシーズンを勝ち進み、チャンピオンシップに進出。京都はすべてを出し尽くしたが、A東京の壁を超えることはできなかった。主力の2選手を欠いたことが勝敗に影響を与えたことは間違いないが、浜口炎ヘッドコーチは常々「ウチはいるメンバーで戦うだけ」と特定の選手に依存していないことを強調した。

「最後、皆と一緒にコートに立ちたかった」

結果的に出場停止の2人が戦犯扱いされてもおかしくはない状況となった。だが浜口コーチと同様に、伊藤にそのような負の感情はなく、むしろ出てくるのは感謝の言葉だ。「今までこういったことがシーズン中もたくさんあったので。ここまで来たからには勝って、最後は皆と一緒にコートに立ちたかったという気持ちが強いです。今までジョシュだったり、ジュリアンだったり、本当に助けてくれていたので、その恩返しができなくて悔しいです。それに尽きます」

「後半からケガ人ばかりで身体がキツかった」と激闘のシーズンを振り返り本音を漏らすも、「でも、またさらに練習しなきゃいけない」と、すでに伊藤は次のシーズンを見据えていた。少し気が早いが、さらなる成長を遂げた伊藤の姿を早くコートで見てみたい。