苦しみ抜いたシーズンを終えたSR渋谷の広瀬健太、「もどかしい1年」を振り返る

2018/05/10
Bリーグ&国内
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文=丸山素行 写真=野口岳彦、B.LEAGUE

「バスケットをあきらめてしまうぐらい厳しいシーズン」

4月22日、サンロッカーズ渋谷は千葉ジェッツに敗れてチャンピオンシップ進出への道が断たれた。それでもホーム開催となったラスト3試合は接戦をモノにし、3連勝でシーズンを終えた。

「消化試合というか、そういった中で気持ち的には難しい試合でした。その中でもたくさんの人に応援してもらえたので、勝ち切れたというのは応援してくださった人たちに対して顔向けできた結果になったんじゃないかな」と、広瀬健太は最後までアリーナに足を運んでくれたファンに勝利をプレゼントできてホッとした様子。

最終成績は28勝32敗と、昨シーズンから4つ勝ち星を減らした。前半戦はケガ人を多く抱える中10連勝を記録するなど、サプライズチームの一つとして挙げられていたが、後半に失速した。

「プレイヤー人生で初めて大きなケガをしました」と語る広瀬は16試合を欠場。さらにはチームの方針など様々な要因が相まって、プレータイムと得点はルーキーイヤー以来最低の数字となった。広瀬はそんな苦しかったシーズンをこう振り返る。「ケガをしてからは本当に苦しい思いをすることがたくさんあって、ここでバスケットをあきらめてしまうぐらいの、自分的には厳しいシーズンでした。この苦しいシーズンが良い経験だったと言えるように、しっかりカムバックして来シーズン以降もやってかなければいけないと思います」

自身のパフォーマンスが上がらないもどかしさ

「バスケットをあきらめてしまうぐらい」という強烈な表現が広瀬の苦闘を物語る。特に後半戦はチームが勝ち星から遠ざかる状況で、自身のコンディションが戻らない二重の苦しみを味わった。シーズンを終え、広瀬は正直な思いを明かしてくれた。

「今まで動けていたところで踏ん張れなかったり、ぶつかることに対してグラついたりしました。いろいろなところに痛みがあり、そしてまた違うところをケガしたり。それでトレーニングの量も足りなくて、自分らしいプレーができなくてもどかしいところもありました」

確かに、ケガから復帰した後のプレーにはどことなく重さが見えた。広瀬の代名詞であるスティールでは、狙うタイミングは抜群でも1歩目の動き出しが遅れ、ボールに触れることはあってもカットしきれない場面が多々あった。また、下半身の踏ん張りが効かなくなり、ドライブからのフィニッシュを決めきれないことが増えたように思える。

SR渋谷は『一体感』を武器に躍進したが、勝利という成功体験を得られなくなったことで自信がグラついた。迷いが生じたことで『一体感』も消えてしまった。「自分がどうにかしようという気持ちを皆が強く思ってしまって、周りとの連携があまりうまくいかなくなりました」と、チームの破綻を広瀬は振り返る。

「自分のコンディションが上がらないところがあって、その影響もあるのかチームも勝ち切れなくて。なかなか結果がついていかなかったです」。在籍も長く責任感も強いだけに、彼にとっては自分を責め続ける1年だったに違いない。その肉体的な疲労、精神的な疲弊は本人にしか分からないものだろう。

再び立ち上がり、目標を掲げて走り始めるには相当なパワーが必要となるが、今は長く苦しいシーズンが終わったところ。一度リセットし、再始動するのはもう少し先でいい。様々なものを背負って走ってきたチームリーダーに、今はひとまず「お疲れ様」の言葉を送りたい。