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44分出場でチームを勝利に導いたレブロン、疲労困憊

過去3年連続して東カンファレンスの王者に君臨してきたキャバリアーズだが、今年の1回戦は大苦戦。105-101でペイサーズに勝利し、なんとかカンファレンス準決勝に駒を進めた第7戦後の会見で、レブロン・ジェームズは疲労困憊の状態だった。睡魔に襲われているかのような表情を見せると、質問をさえぎるようにして「悪いけれど疲れていて、もう家に帰りたいんだ」と、会見を打ち切った。

このやり取りからだけでも、無尽蔵の体力を誇るレブロンが心身ともに消耗するきわめて激しいシリーズだったことが分かる。レブロンは44分の出場で45得点9リバウンド7アシスト4スティールを記録。プレーオフ史上初の200試合で20得点以上を記録した選手になったが、『キング』にとっては記録やシリーズについて語るより、一刻も早く身体を休める方が重要だった。

試合序盤から主導権を握り、ホームコート・アドバンテージを生かしたキャブズだったが、リードを2桁に広げても安心できる時間帯はなかった。第7戦でもビクター・オラディポがペイサーズのオフェンスを牽引。必死にキャブズに食らいついたペイサーズは、第4クォーター残り1分をきってオラディポのレイアップで4点差(96-100)まで詰め寄る。

一つのミスが命取りになる時間帯でキャブズが選択したプレーは、レブロンとカイル・コーバーによる連携だった。左ウィング付近でボールを持ったレブロンは、ボーヤン・ボグダノビッチを引き付け、トップ・オブ・ザ・キー付近で待機していたコーバーにボールを託す。ボグダノビッチがこれを意識した刹那、ペイント内にカットインしたレブロンを見逃さずコーバーがパス。これを受け取ったレブロンがレイアップをねじ込み102-96とし、キャブズが勝負を決めた。

第7戦では、ヘッドコーチのタロン・ルーによる大胆なメンバーチェンジも見られた。ルーは、この試合でトリスタン・トンプソンを先発センターに抜擢。この采配が的中し、トンプソンは15得点10リバウンドで勝利に貢献した。2016年の優勝メンバーの一人でもあるトンプソンは、第6戦までに合計3得点6リバウンドしか記録していなかったのだが、第7戦では試合開始からの6分間で6リバウンドをマーク。キャブズが100-92で迎えた第4クォーター残り1分39秒には、ダレン・コリソンのレイアップを叩き落とし、ペイサーズに希望を与えなかった。

トンプソンは、突然の先発起用について「準備を整えて、プロとしてプレーするだけ」とコメント。ベンチ降格、そして出場時間の少なさに不満を持っていても不思議ではなかったが、チームの勝利のため一心不乱にプレーにだけ集中し、大きな勝利をもたらした。

敗れはしたものの、ペイサーズが勝っていても不思議ではないシリーズだった。キャリアイヤーとも言えるシーズンを送り、ペイサーズのエースに成長したオラディポは、「チーム以外では、誰一人として、自分たちがここまでやれると思っていなかった。尊敬を勝ち取れたと思っている」と、敗れてもなお胸を張った。

ようやく1回戦を突破したキャブズだが、中1日を挟み、ラプターズとのカンファレンス準決勝が始まる。2年続けてキャブズに煮え湯を飲まされてきたラプターズの士気は高く、1回戦での疲労が抜けきらない中で始まるライバルとのシリーズもまた、キャブズにとって大きな試練になるだろう。4年連続NBAファイナル進出への道は、一歩前進するごとに険しさを増していく。