NBA再開カウントダウン 今シーズンも『逆境に強いサンダー』は健在、プレーオフで波乱を巻き起こせるか

2020/07/24

主力選手を失ったシーズンこそ、しぶとい強さを発揮

ラッセル・ウェストブルックとポール・ジョージをトレードして迎えた開幕からの2カ月を7勝11敗と苦戦したサンダーでしたが、12月以降は33勝13敗とリーグトップクラスの勝率で順位を上げてきました。窮地に追い込まれるほど力を発揮するチームカラーは、フランチャイズの顔であったラッセル・ウェストブルックを失った今シーズンも健在です。

10年前、ドラフトでジェームス・ハーデンを加えたサンダーはオクラホマシティに移転してから初の50勝を挙げてプレーオフに進出すると、その2シーズン後にはファイナルまで駒を進めます。ケビン・デュラント、ウェストブルックとの3枚看板は王朝を築く可能性さえ感じさせましたが、ヒートに破れたオフにハーデンを残すことができませんでした。

この時、チームは下り坂に差し掛かったと思われましたが、逆境を跳ねのけるように60勝まで勝ち星を伸ばしました。

その後、デュラントとウェストブルックが交互に大ケガを負って苦戦するものの、2人が揃い踏みとなった2015-16シーズンはカンファレンス・ファイナルに勝ち進みます。しかし、3勝1敗のリードからまさかの3連敗を喫して敗退。対戦相手だったウォリアーズがNBAの象徴となったわけですが、さらなるダメージはそのオフ、デュラントがそのウォリアーズ移籍を選んだことでした。

翌シーズンからウェストブルックがシーズン平均でのトリプルダブルを達成し、チームはプレーオフに進出と、再び逆境での強さを発揮すれば、カーメロ・アンソニーやポール・ジョージを獲得してしぶとい強さを発揮しています。そしてウェストブルックを失った今シーズンもまた、チームは躍進を果たしています。

このチームカラーは、長きに渡りチームを作ってきたサム・プレスティGMが、シュートを中心としたスキル面よりも、ウェストブルックに代表される『ハードに戦う気持ち』を持った個性的な選手を集めて、現代的かつ効率的なプレーよりも情熱的なプレー溢れるスタイルを貫いていることが強く影響しています。

またプレスティGMはスーパースターが移籍を希望すると、トレードでドラフト指名権や他のチームでくすぶっている選手を集め、新たなスター選手を作り出してきました。選手の要望を受け入れながらも大胆に動き、必ず収支が見合うトレードにしてしまう手腕は『プレスティ・マジック』と評され、オクラホマというローカルな環境ながらも強烈な存在感を放っています。

個人がハードに戦う『サンダーらしい』カラーは変わらず

ウェストブルックとポール・ジョージの強力デュオのトレードでは、2年目のシェイ・ギルジャス・アレクサンダーと大量のドラフト指名権という将来への布石を得ました。そのため、今シーズンは再建期と見なされており、クリス・ポールは当初、自分の全盛期をサンダーで過ごすのを嫌がっているとも噂されました。しかし、プレスティGMはダニーロ・ガリナーリも加えて勝利を目指し、対価が見合わないトレード案には首を縦に振りませんでした。一般的な予想とは違い、プレスティは今シーズンのロスターにも自信を持っていたのです。

そしてシーズンが始まると、トレードで加わった3人とシックスマンとして登場するデニス・シュルーダーが17得点以上を奪っており、強力デュオから強力カルテットにチーム方針を変えてきました。面白いのはアシスト数はリーグで3番目に少ない21.9本と、カルテットであっても連携はせず、個人がハードに戦う『サンダーらしい』カラーは変わっていないことです。

その中でもクリス・ポールは特徴的で、アシストはキャリア最少の6.8に留まるものの、フィールドゴール成功率は昨シーズンから大きく向上させて48.9%とし、スコアリングガードとして復活を果たしました。特に試合終盤でみせる個人で得点を取りに行く姿勢と勝負強さは、プレースタイルこそ違うもののウェストブルックと変わらぬ気持ちの入ったプレーで、ファンの心をつかんでいます。

第3クォーターまでの得失点差が-0.5点のサンダーですが、最終クォーターの得失点差はリーグトップの+2.5点、さらにはオーバータイムは全勝と、試合終盤に圧倒的な強さを誇ります。逆境に強いだけでなくスコアラーが複数になったことで誰で勝負してくるか分からず、しかも『個人突破からのミドルシュート』という現代NBAでは珍しいシュートも臆すことなくチョイスするため、プレーが読めません。ディフェンスではファールが少なくフリースローを与えないのが最大の特徴で、ハードな気持ちを持ちながらクリーンに守る巧さもあります。

攻守に個々のマッチアップを制するような気持ちの乗ったプレーで従来のサンダーらしさを失わず、全員が主役となった戦い方は日替わりヒーローを生み出し、結果に繋がっています。上位チーム同士の対戦が増える再開後は接戦も増えるだけに、勝負強さを武器に波乱を巻き起こしてくれそうです。

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