文・写真=鈴木栄一

「すべての部分で負けたくない」と負けん気全開

12月23日、アルバルク東京はアウェーゲームでサンロッカーズ渋谷と対戦。同じ東地区所属で好成績を残しているライバルとの今シーズン初対決で91-62と圧勝した。

大勝の要因は「我々はディフェンスのチーム」とルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチが語るチームの生命線である守備が、試合開始直後からしっかり機能したこと。そして、つかんだ流れをキープするのに貢献したのが小島元基だ。いつものベンチスタートからこの日の小島は6得点に加え、6アシスト3スティールをマーク。激しいディフェンスからターンオーバーを誘うだけでなく、ポイントガードとして攻守の素早い切り替えからの好アシストで、速攻からの得点を演出していた。

今回のSR渋谷戦は東地区の上位対決という以外にも、小島にとって大きな意味を持っていた。それは同じ東海大学の同期として切磋琢磨してきたベンドラメ礼生との『プロバスケ選手としての初対決』だったからだ。

ともに大学4年生のシーズン終了後すぐに特別指定選手としてトップリーグへ加入したが、ベンドラメは日立サンロッカーズ東京でNBL、小島は京都ハンナリーズでbjリーグと、異なるリーグへ進んだ。同じBリーグ所属となった昨シーズンだが、SR渋谷と京都の対戦時、小島は故障離脱していた。その後、オフに小島は同地区のA東京に加入したが、意外にもここまで両チームの対戦はなく、シーズンも中盤戦に入るこの時期に待望の機会がやって来た。

「あいつはポイントガードではなかったので、マッチアップする機会は少なかったですが、久しぶりで楽しかったです」と語る小島に対し、ベンドラメも「マッチアップする時間は短かったですけど、意識しあっている感じはありました」と続け、やはり2人にとって特別な感覚があるものとなった。

ケガで出遅れるも、ディフェンスで信頼を勝ち取る

プロになってから初めて公式戦でやりあったベンドラメに対し、小島は次のように讃える。「自分は今、ベンチスタートなので最初はプレー見ていて、やっぱりうまくなっていると思いました。ピック&ロールからの身体の使い方とか、タフショットもしっかり打ち切れている。こういうことは言いたくないですけど、さすがだなと思いました」

ただ、一方でこれだけは負けたくない所はあるのかと尋ねると、負けん気の強さを隠さず「すべての部分で負けたくないです」と語る。「やはりディフェンスの強度は僕の方が上です。あいつはなんか嫌らしいところはありますけど」

このディフェンスの強度は、小島の持ち味であり、今日も3スティールという活躍を導いている。自身のパフォーマンスについて小島は「ディフェンスからうまく試合に入れて悪くなかったです。こういう感じが自分らしさであり、プレーしていて気持ちが上がる感じがありましたので良かったと思います」と手応えを感じている。

シーズン序盤は故障で出遅れた小島だが、「あのケガで嫌な感じがずっと続いていましたが、今は良くなっています」と、ここに来てチームにフィットしてきた感覚は強くなっている。同時に、厳格な指揮官からの信頼も徐々に得つつある。

「最近、ルカコーチからディフェンスで『グッドジョブ』と言われるようになったので貢献しているのかと。あとはオフェンスの判断を変えればもっと貢献できます。なかなかそういう言葉を言われないので、『おっしゃ、やったぜ!』となります」

「個人としては相手のポイントガードに徹底にプレッシャーをかけて、そこからリズムを変えていきたい」と自身の役割を語る小島。闘志満点のプレーでコート上を走り回るハードワーカーは、タレント集団のA東京の中でも埋没することなく、確固たる個性で存在感を高めている。