「大事なところでは自分が仕事をしなければいけない」
アルバルク東京は昨日の栃木ブレックスとの激闘を制し、
誰が出場しても得点が狙えてハードワークができる、
A東京を指揮するルカ・パヴィチェヴィッチも、
昨日の第2戦ではゲームハイの20得点を記録。
田中は勝負どころを敏感に見極め、そこでボールを呼ぶ。
田臥勇太をブロック「気持ち良かった」
昨日の第2戦では得点以外でも勝利を引き寄せるビッグプレーがあった。残り3分15秒、ボールを奪われ田臥勇太にワンマン速攻を許した場面、決められたら同点という状況でのチェイスダウンブロックだ。「ちょうど昨シーズンのリーグ終盤、代々木での栃木戦で同じようなシチュエーションがあったんです。その時に決められて雄叫びを上げていたので、今日は絶対ブロックしてやろうと思いました」
『雄叫び』のキーワードでそのシーンを思い起こすファンも多いだろう。3月5日に行われた、東地区首位の栃木を1ゲーム差で追う天王山だ。A東京は最終クォーター残り5分に追いつかれ、その直後に田臥のスティールから速攻を許した。田中はハリーバックしたが間に合わず、速攻を決めた田臥の雄叫びを誰よりも近い位置で見ていた。
「ファウルになってもいいから止めようと思ってました」と田中が振り返るブロックでピンチをしのいだA東京は、その後の3分間を15-9と突き放し、栃木を退けた。「去年やられているので、今回はブロックして気持ち良かったって書いておいてください(笑)」と、珍しく田中は饒舌だった。それだけ会心のプレーだったということだろう。
「その週にどれだけ良い練習ができるか」
A東京は栃木相手に連勝し、これで19勝4敗。東地区の首位を守り、リーグ全体でもシーホース三河に次ぐ2位の勝率を残している。この好成績の理由は開幕前からずっと続くハードな練習によるものだ。ルカ・パヴィチェヴィッチが持ち込んだハードワークを田中は歓迎している。「少しの気の緩みも許さない徹底したヘッドコーチですし、自分たちもそれについていって良い練習ができています。しっかり良い準備ができている」
「その週にどれだけ良い練習ができるかが、その週の結果にすごく出ると思います」
厳しい練習を課すことで知られるルカコーチだが、指揮官がそれ以上に大事にしているのは『気持ちで負けないこと』だ。そのアイデンティティが今のA東京には浸透している。「今までと違って、不利な状況になっても気持ちとかエネルギーで負けていない。それが自分たちが首位にいる一つの要因だと思う」と、田中もメンタル面でタフになったチームを自負している。
以前よりもプレーに自信がみなぎっている田中に引っ張られるように、A東京の強さも昨シーズンを上回っている。レギュラーシーズンは3分の1を過ぎたばかりだが、東地区の覇権争いはA東京が一歩抜け出した。