三好南穂

『水性ならいいよ』と言えるノリの良さ

1月19日に行われたWリーグオールスターは、選手、観客ともに笑顔が絶えず、優しい雰囲気に包まれたまま終了した。観客を楽しませようと様々なパフォーマンスが行われた中で、最も身体を張り、観客の笑いを誘ったのはトヨタ自動車アンテロープスの三好南穂かもしれない。

3ポイントシュートコンテストに出場した三好はチームメートの馬瓜エブリンにまぶたに目を描き入れられ、コンテストに臨んだ。驚くべきはこれがアドリブだったことだ。「並んで準備していた時に途中で水島(沙紀)さんが来て、『目を描かせて』と言われて、そこで急遽『水性ならいいよ』と言って描かれました。水島さんは前に出るタイプじゃないのでエブリンが描きに来ました。企画じゃなく、いきなりでした(笑)」

いくら笑いを取りにいこうと思っても、そこまで身体を張るのは勇気がいるものだ。そこで躊躇なく『水性ならいいよ』と言えるところに三好のサービス精神が表れている。しかも、その状況でコンテストに優勝してみせた。「本当はもう笑いだけとって終われればいいかと思っていたんですけど。まさかの優勝で、周りのみんなもあんなシルエットのやつに負けるのが悔しいって言ってました(笑)」

目を描くことで眠っていることを悟らせないようにするコントはしばしば見かける。だが、今回の場合、三好特有のクセ(?)が関係し、目を描き入れることになったという。「いつもファンの方が写真を撮ってくれると、だいたい打つ時に癖で目をつむっているんですよね。それが結構浸透していて、目をつむりがちなので、目を描いたみたいな(笑)」

三好南穂

認知度向上のための真剣勝負

4年連続4回目の出場となった三好は3ポイントシュートコンテストだけではなく、メインのオールスターマッチ、そしてハーフタイムに行われた『3×3 ベストオブベスト オールスターマッチ』にも参加した。

そのため「全体を通して本当に楽しかったですけど、色々と出させてもらったので今は正直どっと疲れが(笑)」と話し、相当な疲労が溜まったようだ。

オールスターマッチはエンタテインメント性が重視されることもあり、普段の試合よりも強度は下がる。それでも、ハーフタイムに行われた『3×3マッチ』はほぼ真剣勝負が繰り広げられた。それは5人制に比べて世間の認知が低いからこそ、多くの人にその魅力を伝えるためだ。

「3人制を全然知らない方たちもいるから、どんな競技か分からないものをふざけでやっても伝わりにくい。特に3人制はトランジションが早いのが売りなので、皆さんに3人制を好きになってもらうためには、真面目にガチでやり合わないとダメだねと話していました」

結果的に身体を休めるためのハーフタイムが最も疲れる時間帯となった。それでも三好は「一人でも多くの人に、今回自分たちのプレーを見てもらったことはすごく意義のあることだと思います」と、充実した表情を浮かべた。

三好南穂

英気を養い「また、もう一回頑張ろう」

このように三好は5人制と3人制の二足の草鞋を履いている。先日の皇后杯ではJX-ENEOSサンフラワーズに準決勝で敗れ、2月後半に再開するリーグ戦に向けてあらためて準備するところだが、2月には『3×3』の合宿も行われる。

「目の前にあるのが2月の3×3の合宿で、3月のOQT(オリンピック予選)のメンバーが決まると思います。少し5人制の期間が空く分、『3×3』にメンタルを持っているところはあります」と、今は先に来る3人制にフォーカスしている。

だが、トヨタではキャプテンを務めるだけに、どちらかをおろそかにできず、「本当に大変」と三好は言う。「どちらかだけを考えられないというか、3人制で合宿をしていても5人制のチームの状況が気になったりします。どちらかに集中することは正直難しいです」

リオオリンピックに出場し、代表候補にも頻繁に選出される三好だが、最近は本メンバーに食い込めないでいる。本人にとって大変な時期はこれからも続くが、今回のオールスターで肩の力を抜くことができたようだ。

「いつも厳しい練習をやっている中で、こうして楽しくふざける機会があるのはリフレッシュになりました。また、もう一回頑張ろうという気持ちになりました」

全力で観客を楽しませたWリーグオールスターを経て、真剣勝負の場へと戻っていく三好。彼女の挑戦はこれから佳境を迎える。