食らい付く大濠、突き放す福岡第一という展開に
高校バスケ日本一を決めるウインターカップ男子決勝は『福岡決戦』、福岡第一と福岡大学附属大濠の激突となった。
序盤は大濠のミドルシュートに当たりがこない中、クベマジョセフ・スティーブがゴール下で強みを発揮する福岡第一が先手を取る。木林優がスティーブを外に引き出してのドライブ、横地聖真が強引に持ち込んでのレイアップと大濠も反撃するが、速攻も出始めた福岡第一が開始5分で14-7とリードして、大濠が最初のタイムアウトを要求した。
横地には内尾聡理が、河村勇輝には田邉太一がベッタリとディフェンスで張り付く状況、小川麻斗がペネトレイトからバスケット・カウントをもぎ取り、オープンの3ポイントシュートもきっちり決めた福岡第一が、第1クォーターを23-14とリードして終える。
横地のアタックをスティーブが長い腕を伸ばして余裕を持ってブロック、ここから河村が猛スピードで持ち上がって内尾への合わせが決まり、神田壮一郎が3ポイントシュートで続いて福岡第一が30-14とリードを広げていく。スティーブが決めきれずに倒れて戻れなかったオフェンスで田邉がバスケット・カウントをもぎ取るが、それ以外にチャンスが作れない。
20-40と点差を広げられた大濠だが、スティーブを崩せなくてもインサイドに切り込む積極性を失わず、そこからのパスアウトでオープンの3ポイントシュートを決めて反撃。木林のバスケット・カウント、西田公陽のファストブレイクと、劣勢でも攻め続けることで活路を見いだし、29-42と点差を詰めて前半を終えた。
それでも主役はスティーブ。リスクを避けて個人ファウルなしで19得点13リバウンド5ブロック。河村がフェイスガードで自由を与えられない状況で、攻守に圧倒的な存在感を見せた。
大濠のエース、横地のアタックを抑えた堅守
前半はスティーブに限らず、両チームともファウルトラブルを避けるべく当たりの強さをセーブしていた。後半、大濠はディフェンスの強度を上げて主導権を奪いに行くが、良いディフェンスでシュートを落とさせてもスティーブにリバウンドを拾われ、セカンドチャンスを決められ50-29まで離される。
ここで奮起したのは横地だ。リバウンドで身体を張り、自らボールプッシュして速い展開を作り出す。それでも走り合いなら福岡第一が上。トランジションの打ち合いで点差を詰めることはできない。それでも、横地のドライブがスティーブに止められたところに飛び込んだ田邉がバスケット・カウントをもぎ取るなど大濠の積極性は衰えず、西田公陽のドライブ、木林がスティーブのブロックショットをかいくぐるジャンプシュートを決め、48-59まで点差を詰めて最終クォーターへ。
しかし、大濠が粘っても粘ってもエースの横地に当たりがこない。序盤にバスケット・カウントで3点を取って以降は得点が伸びない横地のアタックは、粘り強いマークで勢いを削がれ、最後にはスティーブのブロックに阻まれた。残り4分半、速攻のフィニッシャーになることで横地が久々の得点を挙げる。続いて横地のディフェンスリバウンドからの速攻が飛び出し、59-69と10点差に詰めた。
この直後に福岡第一のチームファウルが5に到達。横地のフリースローで点差を1桁に戻すも、ここで河村、スティーブと連続得点で76-62と福岡第一が突き放す。ラスト2分半、大濠の勢いに押されながらも崩れることなく、オフェンスの迫力は失わなかった福岡第一がリードを守り切った。
チームを優勝に導いた河村勇輝「ホッとしています」
最終スコア75-68、盤石の強さを見せつけた福岡第一が粘りに粘る大濠を退け、高校チャンピオンに輝いた。
福岡第一の司令塔、河村は10得点13リバウンド11アシスト。フェイスガードを受けてアタックに行きづらい状況でゲームコントロールに徹してチームを動かした。「ホッとしています。みんなとやれるのは最後って悲しさもあったんですけど、この緊張感が終わって、笑顔で終わることができて良かった」と役割を果たした安堵の笑みを見せた。