文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

スピーディーなバスケで西宮が序盤から主導権を握る

開幕5連敗と『B1の洗礼』を浴びていた西宮ストークスが、6試合目にして初勝利を挙げた。

昨シーズンから主力メンバーが変わらずチームの完成度の高さが売りの西宮は、組織的な『走るバスケ』でB1を戦っている。ここまで千葉ジェッツと富山グラウジーズを相手に善戦しながらも、後半の戦い方に脆さを見せて連敗を喫していた。京都と戦う今節、金曜ナイトゲームで行われた初戦も同様。リードして迎えたラスト1分半を無得点に抑えられ、逆転負けを喫した。

10月14日の第2戦、西宮は試合開始から4分間で12-2のビッグランを決める。外国籍選手オン・ザ・コートは京都が「2」、西宮が「1」と不利ではあったが、コナー・ラマートと谷口淳のスモールラインナップが素早い展開からシュートチャンスを作り出し、ペリメーターシュートを確率良く決めて第1クォーターを21-11で取った。続く第2クォーターは第1戦でも活躍したドゥレイロン・バーンズが点取り屋の才能を発揮。京都が得意とするスローテンポに持ち込ませず次々とシュートを放ち、リバウンドでもサイズの不利を覆す奮闘を見せた。

前半を終えて45-27と西宮が圧倒。京都は前半だけでターンオーバー14(西宮は5)、リバウンドも互角で、シュート確率よりも攻撃機会の差(前半のシュート試投数は西宮34に対し京都23)がスコアに表れた。

脅威のシューター岡田が見せる『逆転の京都』の圧力

それでも京都は開幕から昨シーズンのプレーオフ進出チームを相手に3勝1敗と好調。結果が出たことで自信もついており、ハーフタイムでしっかりと立て直す。きっかけとなったのは、ジュリアン・マブンガとジョシュア・スミスが西宮のハイテンポなバスケに乗れないと見て、マーカス・ダブにオン「1」の第3クォーターを託して守備を立て直したことた。そのダブは第3クォーターの10分間で得点がなかったものの、ペイント内で相手に自由を与えず西宮の勢いを削ぐ。

京都はここから強引な3ポイントシュートを次々と放つリスク覚悟の攻めが功を奏し反撃開始。ここで主役を演じたのは岡田優介だ。3ポイントシュート、さらには3ポイントシュートにバスケット・カウントのボーナススローも決める4点プレーであっという間に7得点を奪うと、片岡大晴も3ポイントシュートで続き、さらには片岡のスティールから岡田がトランジション・スリーをねじ込む。残り6分25秒で西宮がたまらずタイムアウトを取った時には40-50と10点差まで追い上げていた。

それでも西宮はここで踏ん張った。54-45で迎えた第4クォーター、開始直後に谷口がファウルトラブルでベンチに退くが、代わって入った石塚裕也がハッスルプレーで攻守を支える。怖い岡田にも激しく寄せ、第3クォーターの4本に続き第4クォーターにも3本の3ポイントシュートを許しながらも、楽なシュートは1本も打たせなかった。終盤になってマブンガにも当たりが来て、京都は様々な手で崩しにかかるが、西宮は浮き足立つことなく2桁のリードをキープする。

23得点を挙げた殊勲のバーンズ「グレートだ」

残り3分、石塚と谷口の日本人ビッグマンが立て続けにファウルアウト。第4クォーターになってやられていなかった連続得点をここで奪われ、岡田の3ポイントシュートで70-63と7点差に。それでも次の攻めでオフェンスリバウンドを拾って時間を使いながら、最後は谷直樹のオープンを作り出す『チームで作った2点』で京都の流れを切る。決して派手ではないが効果的な一発で、西宮に流れが行ったかに思われたが、その直後に岡田が激しいチェックに倒されながらもこの日7本目の3ポイントシュートをねじ込み、ボーナススローも決めて72-67と5点差に。

だがその直後、バーンズが強引なアタックでダブの個人5つ目のファウルを誘ってコートから追い出すと、フリースロー2本も決めて京都を突き放す。その後のファウルゲームを落ち着いて乗り切り、最終スコア79-72で勝ち切った。

勝利の立役者となったバーンズは、オン「2」の20分間だけの出場で23得点。第1戦も好調で17得点を挙げたが、ステップアップしてチームにB1初勝利をもたらし、「グレートだ。今日ようやくシーズンが始まった気がする」と勝利を喜んだ。

西宮はオフェンスでは積極性を終始保ち、ディフェンスでは集中力を切らさなかった。京都が後ろから圧力をかけるゲーム展開は、前節には千葉ジェッツでも辛抱しきれなかったもの。そこを浮き足立つことなく自分たちのバスケットに徹した上での勝利で、その意義は非常に大きい。天日謙作コーチは開幕前に「勝率5割は行きたい」と語っていた。借金スタートとなったが、まずは1勝。ここからチームの総合力で戦う西宮の良さが発揮されそうな気配だ。