文=丸山素行 写真=©JBA

「楽しくやるためには勝たないと面白くない」の言葉が浸透

台北を舞台に8月20日から行われているユニバーシアード競技大会も今日が最終日。男子の決勝でバスケットボール競技は締めくくられる。その前夜に行われた女子の決勝、日本代表はオーストラリア代表に敗れて初優勝を逃したものの、50年ぶりとなる銀メダルを手に帰国した。

準優勝という結果以上に、A代表を彷彿とさせる『走るバスケット』を展開、スウェーデン、ロシア、オーストラリアと平均身長で日本を大きく上回る強豪を相手に、堂々の戦いを演じたことが強いインパクトを残した。

チームを率いた佐藤智信ヘッドコーチは「うれしさ半分、悔しさ半分というところ。もうちょっとやれたと思います」と複雑そうな笑顔。それでも「日本のバスケットができた」と手応えは十分、「チームの特長を押さえて、準備したことを忠実に実行してくれた」と選手たちを称えた。

今回のユニバ代表で目立ったのは『笑顔』だった。サイズのある相手に苦しい戦いを強いられながらも、プレーが途切れた数秒のたびに選手たちは笑顔を見せながら自分たちのやるべきことを確認し、また試合へと没頭していった姿が印象的だ。佐藤ヘッドコーチは言う。「短い期間でしたがスタッフも含めてチームになってくれた。『楽しくやろう』と言って、そして『楽しくやるためには勝たないと面白くないぞ』と言っていたのが浸透したのかなと思います」

成田空港に出迎えた日本バスケットボール協会の三屋裕子会長に奮闘をねぎらわれ、チームは解散。しばしの休養の後、選手たちはそれぞれの戦いへと戻っていく。