ライアン・ロシター

攻守で圧巻の活躍、強豪の千葉をアウェーで下す

10月16日、宇都宮ブレックスは千葉ジェッツのホーム、船橋アリーナに乗り込んだ。終盤まで接戦が続いたが、最終クォーター残り6分からディフェンスの強度を上げて約4分間を7-0としたことが決定打となり、宇都宮が76-69で勝利した。

この試合、宇都宮は前節の滋賀レイクスターズ戦で負傷したジェフ・ギブスと竹内公輔が欠場。インサイドでの苦戦が予想された。

そんな中、19得点20リバウンド5アシスト4スティールという素晴らしいスタッツを残し、チームを勝利に導いたのがライアン・ロシターだった。チームの総リバウンド36本中20本がロシターによるもので、千葉のセカンドチャンスポイントを最低限に抑えたことも勝利の要因となった。

「出れなかった2人はリバウンドでの貢献が大きいので、そこに関してはいつも以上に絡もうと意識した」とロシターは言う。それでも、「リバウンド以外の部分はいつも通りで、チームのオフェンスをいつも通りやるだけだった」と、特に気負わず試合に臨んでいた。

インサイドの主力選手2人を欠いたことで、プレータイムも伸びた。最終クォーター開始をベンチで迎えるも、すぐに橋本晃佑が個人3つ目のファウルをコールされ、十分な休みを与えられないままコートに立つことになった。この試合がデビュー戦のシャブリック・ランドルフもファウルトラブルを抱えたことで、ロシターは両チーム最長となる35分間コートに立ち続けた。

「終盤には疲れを感じた部分もあった」というが、「身体のケアをしっかりして、長い時間プレーしなければいけない場面に備えているから特に問題ないよ」と、常にこうしたアクシデントを乗り越えるための準備ができていると明かした。

また、「安齋(竜三)コーチにベンチに下げられると、『早く出してくれ』というオーラを出してウザがられているくらいなので(笑)」と話し、長くプレーすることはウェルカムなようだ。

ライアン・ロシター

「集中力を高めて、『ゾーン』に持ち込んだ」

そんなロシターに対し、安齋コーチは「ずっと一緒にやってますし、コートの中でリーダーシップも発揮してくれます。存在はかなり大きいです。3ポイントシュートも最後に良いところで決めてくれたし、今日は本当に素晴らしかった」と、絶大な信頼を寄せている。

安齋コーチが言うように、ロシターは3ポゼッション差に広げる価値のある3ポイントシュートを沈めるなど、大きな役割を果たした。「相手のほうがより疲れていると思っていた。その中で自分の集中力を高めて、『ゾーン』に持ち込んだんだ。大事な時間に自分の力を発揮できるようにコントロールするんだよ」と、終盤のパフォーマンスを振り返っている。

ギブスと竹内は軽傷ではないため、今後もタイムマネジメントでは苦労が続きそうだ。それでもロシターは「他の選手がステップアップするチャンスでもある」と話し、この状況をネガティブにとらえていない。

苦戦が予想されたが、結果的に強豪の千葉を撃破し、宇都宮の強さを証明した。

「このチームには、最後まであきらめずに戦い続ける『ブレックスメンタリティー』がある。昨シーズンのセミファイナルで僕がケガをしてしまった時に、大半の人が大差で負けてしまうと予想した中で他の選手がステップアップして最後まで戦った。これがチームを表しているんだ。コート上に5人が立っている以上、『ブレックスメンタリティー』で最後まで戦うつもりだ」

ブレックスメンタリティーの象徴であるロシターがいる限り、宇都宮が大崩れすることはない。