主力にケガが相次ぎ『テリフィック12』初戦で大敗
クラブとして初の国際大会となる『テリフィック12』に挑んだ新潟アルビレックスBBだが、厳しい戦いを強いられることになった。アーリーカップ決勝で指を痛めたラモント・ハミルトンが欠場、さらに柏木真介も足を痛めており大事を取った。
外国籍選手2人体制の新潟にとってハミルトンの欠場は大きすぎる痛手。新加入のニック・パーキンズは何とかインサイドを支えようと奮闘するも、昨シーズンまでNBAレイカーズでプレーしていたランス・スティーブンソンが相手では荷が重い。ファウルトラブルになることも許されない状況ではなおさらだった。
「サイズが小さくてもトランジションで相手を振り切り、ズレを作って3ポイントシュートを打つことは前半はできていた」と五十嵐圭が試合後に語ったように、中国の遼寧フライングレパーズを相手に何とか踏ん張っていたが、後半に入って運動量が落ち始めると支えきれなくなった。結果は82-110の大敗。終盤は五十嵐、パーキンズを下げて勝負をあきらめざるを得なかった。
そんな状況ではあったが、今村佳太は「ケガは仕方ない部分ですが、シーズン中でもあり得ること。そこは言い訳せずにやっていかなきゃいけない」と敗戦を受け止め、「個人的にも今シーズンはチームの中心としてやっていきたい気持ちがあるので、そこは誰がいる、いないとかは関係なくしっかりやろうと思っています」と語る。
「改善していく点をこれから見つめていきたい」
試合であれば勝敗にはこだわりたいものだが、リーグ開幕前の大会とあって『結果より内容』が問われる。そういう意味では、戦力が揃わない中でも見るべき内容はあった。Bリーグのバスケットが「インサイドの外国籍選手にボールを預けるだけ」としばしば揶揄されるのとは対照的に、日本人選手、特に若い今村が積極的に中へ仕掛け、どうにか劣勢を覆そうと奮闘したのだ。
「リング下にいるショットブロッカーに対して、自分で行くのかクリエイトしてパスをするのか、その判断が自分としてはまだまだ甘いと思います。アタックできたのは良かった点として、改善していく点をこれからしっかり見つめていきたいと思います」
外国籍選手かどうかを抜きにしても、サイズのある選手が揃う中国のチーム相手にアタックし続けるには、よほど強い気持ちが必要になる。昨シーズンは長期出場停止処分を受けてほとんど働くことができなかった。だからこそ、若さに甘えることなく一気にチームを背負うレベルまでステップアップしなければいけないと、今村は自分にプレッシャーを掛ける。
「やらずに試合を終えるのは絶対に嫌だったので、何回かブロックはされましたけど、ブロックされても良いからとにかくアタックしようという気持ちで試合に臨みました」。その結果が35分半の出場で14得点。スタッツでもインパクトでも爪痕を残した。
「新しいことにチャレンジしながら課題を克服したい」
アタックすること。それ自体はできている。スピードと足腰の強さを生かしてグッと加速するパワフルなドライブは、中国のチームを相手にしても十分に通用していた。次は割って入った後の判断と精度だ。「自分としても伸びしろはたくさんあると思っています。自分の役割を考えると決めきらないといけない選手だと思うので、現状に満足せずにやっていきたいです。ウチにはシュート力のある選手がたくさんいるので、そういう選手にパスをさばける選手にもなりたいです。まだまだやることはいっぱいあります」
ケガ人が立て続けに出ているが、今村自身は「コンディションはすごく良いです。あとは試合でよりスマートに、チームとの合わせを試合をこなす中で繋げて開幕を迎えたいです」
そういう意味では、この『テリフィック12』も貴重な実戦経験の場となる。「昨シーズンは悔しい思いをしたので、開幕から良いスタートが切れるように。今シーズンの新潟のスローガンは『NEW CHALLENGE』なので、僕も新しいことにチャレンジしながら課題を克服してきたい。明日もいろんなことに挑戦して、チームとしても個人としても挑戦してやっていきます」
遼寧フライングレパーズは新潟に勝ったことで2連勝。3チームのグループで首位チームだけが決勝トーナメントに進出するレギュレーションのため、今日のTNTトロパン戦は消化試合となる。だがそれも『NEW CHALLENGE』の場。今村は挑戦者としての姿を見せてくれるはずだ。