「1年目よりも今シーズンのほうが悔しいです」
千葉ジェッツの渡邊雄太はBリーグ2年目となった今シーズン、59試合出場で平均13.5得点、4.8リバウンド、3ポイントシュート成功率34.6%を記録。開幕直後にいきなり負傷するなどケガに苦しみ、35試合出場に終わった昨シーズンと違い、ほぼフル稼働の中でBリーグ随一の日本人ウイングとしてハイパフォーマンスを挙げ続けた。それはスタッツだけでなく、出場時間内の得失点が昨シーズンのプラス0.1から6.3と大幅にアップしたことが示している。
Bリーグのスタイルにも慣れ、渡邊個人としては1年目から確かなステップアップを果たした。ただ、本人に満足感は全くない。チャンピオンセミファイナルで長崎ヴェルカに敗れた悔しさは、まだ癒えていない。5月30日に行われたファンイベント終了後、囲み取材に応じた渡邊はこう語る。
「本当に悔しさがずっと残っています。1年目よりも今シーズンのほうが悔しいです。個人としては、レギュラーシーズン残り15試合くらいから、やっと自分の型にはまったバスケットができ始めた感触はあります。これを60試合通して続けられる力をつけていきたいと思います」
個人のパフォーマンス向上によって得られる喜びは、今の彼にない。「例えば20代だったら、そういう達成感をもしかしたら得られたかもしれないです。ただ、この年(31歳)になって、優勝だけを目指してやってきた中で、負けて終わりの時点で満足感や達成感を得られることはないです」
一方で、大きな離脱なくシーズンを完走できたことへの安堵感はある。「レギュラーシーズン1試合、CS1試合を除いて、天皇杯に出場し、代表活動もやりながらプレーし続けられました。ここに関しては昨年の夏に目標にしていたことをクリアできたかなと思います」
「危機感が出た時は、自分本来の闘争心がより出た」
そして、過酷なスケジュールを乗り越えた今もコンディションは良好だ。昨夏の彼はコンディションの回復優先で代表活動を見送っていたが、「身体の状態は去年とは全然、違っています」と不安はない。約1ヵ月後に控えたワールドカップアジア予選一次ラウンドの最後の2試合に向けて次のように意気込む。
「いいコンディションを維持して、代表戦に一番良い状態で臨めればと思っています。今はグループで1位ですけど、ここで連敗したらどうなるか分からなくなります。2試合ともアウェーでタフな試合になると思いますが、2連勝すると強い気持ちを持って、強い日本代表を見せていきたいです」
シーズン終盤からチャンピオンシップにかけての活躍ぶりは、今夏の代表活動や来シーズンに向けてのポジティブな材料だ。このステップアップの背景として、渡邊は危機感を挙げる。
「やっぱり危機感が出た時は、自分本来の闘争心がより出たのかと思います。シーズン中盤まで手を抜いたり、気がゆるんだところは全くありませんでした。ただ、終盤になって『このまま負け続けたらCSも出られないかもしれない』という状況となり、よりむき出しの闘争心でプレーできていたと思います」
振り返れば今シーズン開幕前の取材で、渡邊は「1年目はいい子ちゃんになりすぎていました」と反省点を挙げていた。そして負けん気の強さを全面に押し出し、よりアグレッシブなプレーをしたほうがより自分らしく、本来の力を発揮できると再確認できた。
「ギラついてやっている時のほうが、自分らしいプレーができている気がします。危機感がある・ないにかかわらずシーズン60試合とCSを通して闘争心をしっかり出していきたい。終盤のこれ以上負けられないという状況では、ボールをより要求して、シュートのアテンプトを増やすことができていました。終盤と中盤では多少なりとも気持ちの部分で差があったのが、今の自分の弱さだと思います。終盤のプレーをスタンダードにしていきたいです」
いくら個人のプレーが向上しても、チームのタイトルを取れなかった渡邊に充実感はない。だが、最後の1ヵ月の活躍ぶりが、前年の悔しさと今シーズンで得た学びを糧に、来シーズンはさらに質の高いプレーを見せてくれるという期待感を高めるものであった。

