
戦犯探しに「僕自身が最高の出来だったわけじゃない」
カンファレンスファイナルを迎えるまで、サンダーは連覇に向けて視界良好だった。レギュラーシーズンは最高勝率の64勝18敗、プレーオフでもサンズとレイカーズをいずれもスウィープで蹴散らした。それでもスパーズとのカンファレンスファイナルで敗れ、連覇の夢は潰えた。
ジェイレン・ウィリアムズとアジャイ・ミッチェルをケガで欠き、ローテーションを変更せざるを得ず、最後はサンダーらしい運動量とプレー強度を維持できなくなった。シリーズを振り返れば、延長で敗れた初戦をモノにしていれば、シリーズ中のスパーズの成長を止められたかもしれない。敗因を振り返れば様々な要素が出て来るが、シェイ・ギルジャス・アレクサンダーは「ここまで来れたのは、僕たちが決して言い訳をせず、逃げ道を作らなかったからだ」と言い切った。
「ケガは自分たちでコントロールできないけど、どのチームも程度の差はあれ経験することで、配られたカードで勝負するしかない。僕たちは層が厚く、重要な選手を欠いても最高のレベルで戦えるチームだった」
『言い訳をしない』は、敗退の苦さを噛み締めるサンダーの合言葉だ。指揮官マーク・ダグノートも「シーズンを通してこれだけの結果を残し、このシリーズの『GAME7』をホームで戦う権利を得られたのは、言い訳をしてこなかったからだ。どこかで都合の良い言い訳をしていたら、ここまで来ることはなかった」と語る。
だからシェイも言い訳をせず、まずは相手の戦いぶりを称え、次の機会でのリベンジを考える。「NBAは一度優勝するだけでも大変で、連覇となればさらに困難になる。スパーズは頂点に行く力のあるチームだった。僕たちはここからオフの一日一日を大切にして成長し、来シーズンはさらに強いチームにならなければいけない」
成長への意欲は、サンダーがまだ再建期にあった数年前から変わらないとシェイは言う。「経験を積むほど学びや挑戦の機会が増え、それが成長に繋がる。勝っても負けても、シーズンからの学びを生かして、もっと良い選手、もっと良いチームになろうと取り組むんだ」
「それは過去も、成功を収めた今も変わらない。去年と比べてオフは少し長くなるけど、それ以外は何も変わらない。苦戦した試合の映像を確認し、改善点を探る。つまり、同じことをやるだけさ」
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— OKC THUNDER (@okcthunder) May 31, 2026
敗退から一夜明けてのシーズン最後の会見。メディアの中には『戦犯探し』をする者もいる。ジェイレン・ウィリアムズ不在の状況で、シェイに次ぐ2番手となるべき存在でありながら低調なパフォーマンスに終始したチェット・ホルムグレンはその標的となる。「チェットにオフにどんな取り組みをすべきか伝えたか」と質問されたシェイは、「していないし、その必要もない」と答えた。
「僕自身が最高の出来だったわけじゃない。そこでチェットが僕に『オフはこんな練習をしろ』なんて言ってくるだろうか? 彼がどれほど練習熱心かは分かっている。時には上手くいかないこともあるけど、その経験を糧にできる選手だ。僕はいつもこの言い方をするんだけど、今日のチェットは今後現れるであろうチェットの中で一番下手なんだ。彼は自分で答えを見つけ出すから心配いらないよ」
ケガでチームを助けられなかったと自責の念にとらわれる相棒のウィリアムズについてもシェイは「バスケを愛し、ハードワークする選手だから、絶対に最高の形で戻って来ると信じている」
黄金期のウォリアーズの連覇を最後に、NBAでは2019年以降、ラプターズ、レイカーズ、バックス、ウォリアーズ、ナゲッツ、セルティックス、サンダーと常に異なるチームが優勝している。これらの中でもサンダーは連覇の可能性が最も高いとさえ思えたが、その挑戦はここで終わった。強力なチームではあったが、優勝を果たせなかった以上はロスターに変更があるかもしれない。トレードの資産はまだいくらでもあり、必要だと思った補強は何でもできるのが今のサンダーだ。
チーム編成を取り仕切るサム・プレスティに意見することはあるのか、と問われたシェイは、静かな微笑みとともにこう答えた。「僕の生活の中で、サムの仕事にかかわるような時間もエネルギーも僕にはない。バスケだけで手一杯だよ。人にはそれぞれ役割がある。家庭でも僕は妻の役割、子供の役割はこなせない。ただ父親を全うするんだ」
「仕事でも同じで、僕には『シェイの役割』が、サムにはサムの役割がある。それぞれが自分の役割を全うすることが、チームという組織を円滑に回すんだ。これがサンダーのやり方であり、これからも変わることはないよ」