まさかの起用法に「早いなと思った」
2月14日、越谷アルファーズはサンロッカーズ渋谷をホームに迎えた一戦で93-75の快勝を収め、同率ながらも東地区7位に浮上した。そして、この試合で特別指定の堀陽稀が早速デビューを果たした。
第1クォーター開始4分半、越谷が11-9でリードしている場面で堀はコートイン。一般的に特別指定選手がプレーするのは、試合の勝敗がすでに決している状況での『お披露目』的意味合いが大きいが、堀はチームの最初の交代者としてコートに立った。安齋竜三ヘッドコーチは慣れさせる意図があった明かす。
「正直、まだ来て1週間ですし迷いましたが、もし緊張して全然ダメでもすぐに他の選手に変えればいいというところで、チャンスを与えるなら早い時間帯がいいかなと。基本的には『慣らし』です。緊張や加入直後ということもあって、出だしで引き気味になってしまっていたので、『ディフェンスからエナジーを出せよ』という話はしていましたが、まだまだです」
もちろん堀も試合に出る準備をしていたが、「早いなと思った」と言うように、序盤から出番が来るとは予想していなかったようだ。それでも、堀はできる限りのプレーをし、プロでの初舞台をこのように振り返った。「めっちゃ緊張したんですけど、なんとか頑張りました。プロ初得点できたのは良かったんですけど、最後に自分たちが出ている時間で詰められて、主力の方々をもう1回出すという感じになってしまったので、そこは反省です」
堀は8分45秒のプレータイムで2得点2リバウンド1アシストを記録。フィールドゴールは3ポイントシュート1本を含む合計3本を放ったが、長距離砲や速攻を決め切れないシーンで、堀の得点を待ち望む観客から「ああ~」と大きなため息が漏れた。堀も「すごい聞こえていた」と言うが、プロの試合に出ていることを実感した場面でもあったという。
「それも自分への期待というか。インカレの決勝とか人が入っている試合はあったんですけど、こんなに多くの方々に応援してもらえる経験は初めてなので、すごいうれしかったです」

安齋ヘッドコーチ「強靭な肉体というのが、僕にはまだ全然感じ取れていない」
堀は190cmのサイズがありながら走れる走力を持ち、切れ味鋭いドライブを持ち味とするオールラウンダーで、自身も「大学の時はオフェンスを頑張っていたというか。この身長で結構走れるので、ランニングプレーとか若さを出して頑張りたい」と言う。大学時代は留学生とのマッチアップを任されることもあり、フィジカルが強いことも彼の売りだ。堀も「そんなに弱いと思っていなかった」と言うが、指揮官は求めるレベルに達していないと断じた。安齋ヘッドコーチは期待があるからこそ、厳しい言葉を発する。
「『お客様』って感じですね。コーチとしては求めてしまうので、あのぐらいのエネルギーでは全然足りません。大学の映像も見ましたし、ドライブなど良いところはいっぱいあると思うのですが、ディフェンスでの強靭な肉体というのが、僕にはまだ全然感じ取れていないです。『痩せたのではないか?』とも思いましたが、早く良さを発揮してほしいです(笑)。他の選手がいる中でみんなに『出させてもらっている』状況なのだと本人が気づけるか。自分で勝ち取っていくために何をすべきか早めに覚えてほしいです。ドラフトで悔しい思いもしていると思うので、それを覆すために一緒に頑張ろうという話はしています」
指揮官が言う「ドラフトで悔しい思い」とは、『Bリーグドラフト2026』で会場に足を運びながらも指名から漏れたことだ。堀は「人の評価なのでドラフトは気にしない」と言うが、すでにチームの主力となっている選手もいる『ドラフト組』を強烈に意識している。
「自分より明確に上と評価をされている選手が同年代にいて、そういった選手と今年だけはB1でやるチャンスがあるので、その選手には負けられないです。『絶対にやってやる』っていう気持ちでこのシーズンを戦いたいと思います」
堀がローテーション入りすることができれば、越谷のチーム力は格段に増す。そして、お客様から主力の一員となれれば、ドラフトの評価を覆すことにも繋がる。彼の挑戦は始まったばかりだ。
