ジャック・クーリー

岸本の劇的3ポイントシュートで逆転勝ち

2月14日、琉球ゴールデンキングスはアウェーでアルティーリ千葉と対戦し、岸本隆一の劇的な勝ち越し3ポイントシュートによって87-85で制した。

1週間前は雪の降る川崎、そこから最高気温30度のフィリピンで東アジアスーパーリーグ(EASL)の水曜ゲームを実施。ここから中2日での一戦という過密日程の影響は避けられず、立ち上がりの琉球は攻守ともに細かいミスを犯すなど遂行力を欠いたプレーが目立ち、開始4分で0-7とつまずいてしまう。

このままA千葉のペースで試合は進むが、琉球は岸本隆一、佐土原遼とベンチメンバーの活躍で流れを変え、前半を2点ビハインドで終えた。後半に入ると、前半は苦しんでいたジャック・クーリー、アレックス・カークが持ち味を発揮し、ゴール下でアドバンテージを作ることで逆転に成功。第4クォーター残り6分半にはリードを12点に広げた。

だが、2桁リードで気が緩んだのか、ここからチームで崩す意識が薄くなり、個人技による単発なオフェンスで自ら流れを悪くしてしまう。そして、第4クォーターだけで13得点とA千葉の黒川虎徹の爆発を許すことで、残り1分半で3点のビハインドを背負った。逆転負けの危機が迫る琉球だったが、1点ビハインドの残り4秒、自陣エンドゾーンからのラストオフェンスで佐土原がハーフコート付近にいたクーリーにロングパス。落下地点にはクーリー以外にA千葉の3選手も集まるが、フィジカルを生かしてクーリーが捕球し、そのまま逆サイドでオープンになっていた岸本にパスを送る。そして、リーグ屈指のクラッチシューターが3ポイントシュートを決め切って熱戦に終止符を打った。

琉球の桶谷大ヘッドコーチは、次のように試合を振り返る。「出だしでオフェンスがうまくいかず、ターンオーバーが多くなってリズムに乗れませんでした。そこから隆一がベンチから入って流れが変わり、シュートで終われるようになりました。そこから途中までは良かったですが、点差が開いた時に変なシュートを打ったり、ターンオーバーとソリッドなプレーがなくなってしまいました。ほぼ負ける展開でしたけど、ヴィック(ロー)がシュートを決めてくれたり、最後は隆一がしっかりと時間を使って冷静に決めてくれました。役者がいたからなんとか勝てましたが、反省点の多い試合になりました」

桶谷大

「結果としてプレーは失敗だったとしてもチャレンジしたこと自体は成功」

指揮官が語るように、内容的には満足できる一戦ではなかった。しかし、激しいチャンピオンシップ争いの渦中にいる琉球にとっては、どんな内容でも勝ったことに大きな意味がある。EASLのメラルコ・ボルツ戦も、勝てばグループ1位で決勝トーナメント通過、6点差以上で負けるとグループリーグ敗退の中でしっかりと勝利した。このように今のチームはシーズン前半戦と違い、ここ一番でしっかりと勝ち切れる琉球らしい勝負強さを取り戻しつつある。

まだまだ修正点はある中でも、指揮官は次のように手応えを語る。「今日はサド(佐土原)が良いパフォーマンスを見せてくれました。前半戦、最初は脇(真大)がケガでいなかったことも響きましたし、交代がうまくいかない、ターンオーバーが多かったりディフェンスの規律が徹底できなかったりと、若手を成長させるための産みの苦しみがありました。ただ、こうやってどこよりも試合をこなしてきたからこそ、チームとしていろいろな部分が熟成されてきているところはあります」

山あり谷ありとはいえ、着実にステップアップしている若手について、指揮官は「まだ、エゴが出るところはあります。若手にとって成長するために必要なエゴもありますけど、勝負がかかっている大事な場面で『今、それじゃないよね』というプレーも垣間見えるので、それはちょっとずつなくしていかないといけないです」と厳しい言葉を投げかける。

ただ、同時にミスを恐れて消極的なプレーをすることを指揮官は何よりも嫌う。例え失敗してもチャレンジを続ける姿勢を若手には求め続けるという。「今日チャレンジした選手は何人かいて、それが負けに繋がる可能性はありました。ただ、『これは違ったな』と責任を感じることができたら、結果としてプレーは失敗だったとしてもチャレンジしたこと自体は成功だと思います。この経験を彼らは自分の成長に繋げ、次はチームにプラスをもたらしてくれたらと思います」

これまで琉球は、Bリーグ初年度からコロナ禍によるシーズン中断を除いて毎年チャンピオンシップに出場している。ただ、今は出場のボーダーライン上におり、レギュラーシーズン最終節に切符をつかんだ初年度を除くと、最も厳しい状況にいる。それは桶谷ヘッドコーチを含めてチーム全員が理解しているが、それでも優勝するためには成長が欠かせず、ミスする可能性が高いことを受け入れた上で若手のチャレンジを推奨する。

目先の勝利は重要ではあるが、あくまで優勝するために必要なことを追求する。琉球は『痛みなくして得るものなし』のブレない方針を貫いていく。