デマーカス・カズンズ

デイビスとカズンズの『ツインタワー』に期待

カワイ・レナードとの契約に失敗したレイカーズだが、そこからの巻き返しは早かった。ジャベール・マギーとダニー・グリーンに続き、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ、クイン・クック、ラジョン・ロンド、デマーカス・カズンズ、アレックス・カルーソと契約を結んだ。

中でも注目されるのがカズンズだ。キングスのフランチャイズプレーヤーだった彼がペリカンズにトレードされたのは2017年2月のこと。モンスター級の実力を持つが規律面を問題視された結果だったが、ここでアンソニー・デイビスと『ツインタワー』を結成。スモール化が進むNBAのトレンドとは逆行する2センターだったが、2人の個性が噛み合うことでペリカンズは躍進する。しかし、2018年1月下旬にカズンズが左アキレス腱断裂の重傷を負い、ペリカンズを離れることに。

本当の実力者であれば、今のケビン・デュラントがそうであるようにシーズンを棒に振るほどの故障を抱えていても良い契約を勝ち取ることができる。しかし、この時のカズンズにはどこからもオファーがなく、彼は選手としての価値をあらためて証明するためにウォリアーズと格安の契約を結んだ。昨シーズンはケガからの復帰は果たしたものの、かつてのダイナミックなプレーは見られず。この夏も年俸350万ドル(約3億7000万円)の単年契約と、ミニマムと大差ない条件でレイカーズの誘いに応じるしかなかった。

規律面での問題が指摘される以上、まだ出場時間の制限がある状況で良い契約を勝ち取ることはできない。それでも、キングスを出されてから2年半、カズンズは苦労を重ねる中で成長しているようにも見える。ウォリアーズでの昨シーズン、チームメートはカズンズのプロ意識を何度も称賛していた。ケガの影響はまだ残るにしても、問題を起こすような言動はなかった。

今回のレイカーズ入りの決め手になったのは、アンソニー・デイビスの勧誘とも言われている。2人はともにケンタッキー大の出身で、カズンズがペリカンズを離れた後も兄弟のような関係は維持されてきた。デイビスは「また一緒にプレーしたい」と公言してきたし、昨年2月のオールスターでは無念の欠場を余儀なくされたカズンズのユニフォームを着てプレーしている。そんな『兄貴』の存在は、カズンズのプレー面での復調にも、そしてプロ意識を高く保つためにも大きいはずだ。

さらに、ペリカンズでこの『ツインタワー』の持ち味を最大限に引き出した司令塔、ロンドとの契約が決まったことにも注目したい。カズンズがケガをするまでのペリカンズは、ロンドの舵取りによって、大型センター2人を同時期用しながらもハイテンポなオフェンスを展開してきた。このトリオがまた見られるのも楽しみだが、そこに絡むのはレブロン・ジェームズであり、カイル・クーズマであり、ダニー・グリーンと超豪華なメンバーとなる。

どんなラインナップになっても、このチームの中心はレブロンだ。それでも、ペリカンズで底知れぬ可能性を見せた『ツインタワー』と熟練のロンドがレイカーズで再結集したことでどんなバスケットが見られるのか、興味は尽きない。