岡田侑大は昨シーズン、京都ハンナリーズで1試合平均15.7得点、5.5アシストと大活躍。卓越した得点力に加え、パスセンスにも長けたリーグ屈指の日本人ハンドラーとして確固たる地位を築いた。今オフ、新たなサイクルに突入した島根スサノオマジックに移籍した理由や新天地での意気込みを聞いた。
「クラブのビジョンを熱く語ってくれたところに惹かれました」
──まずは島根への移籍を決めた理由を教えてください。
昨シーズンは、個人として得点・アシストの両面で前年に比べて手応えがありました。自分でトレーニングコーチを雇ったことなどでフィジカルが強化でき、ストレスなくプレーできたのは成長した証拠かなと思っています。島根に移籍を決めたのは、自分にとって魅力的なビジョンを持っていたから。なおかつニック・ケイ選手とずっと一緒にプレーしてしたいと思っていました。自分の目指す道と島根のビジョンが合致し、なおかつケイ選手と一緒にプレーできることが大きな理由です。
──魅力に感じた島根のビジョンはどういうところですか。
島根は大きい県ではありませんが、その中でバスケットが本当に人気で盛り上がっています。そういう地域をさらに元気にしていく、盛り上げていくのはプロバスケ選手として一つの大きな醍醐味で、自分としても大切にしている部分です。また、島根は親会社にバンダイナムコさんがいて、これまで安藤誓哉さんやペリン・ビュフォード選手といったトップ選手たちが在籍し、チャンピオンシップによく出ているビッグクラブだと思いますが、今の位置からもっと上に行きたいという貪欲な姿勢を持っています。そういうクラブのビジョンを広瀬健太ゼネラルマネージャーが熱く語ってくれたところに惹かれました。
──今シーズンよりBリーグで初めて指揮をとるペータル・ボジッチヘッドコーチはどんな方ですか。
普段はニコニコしていて、常に冷静に会話できる人物です。もちろん怒る時は怒りますが、こちらの話をよく聞いてくれますし、コーチにとって「ここだけは譲れない」という部分も落ち着いて話してくれます。ヨーロッパから初めて日本に来て、今はBリーグのバスケットを学ばれているところだと思いますが、選手たちと最初からスムーズに関係を築けていて素晴らしいコーチです。
──実際にニック・ケイ選手としてプレーしてみての感想を教えてください。
なんか、すごいです。オーストラリア代表の先発として世界相手に戦ってきた経験があり、実績は他の外国籍選手と比べてもずば抜けていると思います。本当に賢くて、一度の練習ですぐに自分の特徴を理解してくれましたし、プレシーズンでも自分にとってベストのタイミングでスクリーンをかけてくれています。ケイ選手とのピック&ロールは、シーズンに入っても通用すると自信を持っています。
「まわりを成長させられるゲームメークもやらないと」
──島根は昨シーズンまで安藤誓哉選手が大黒柱としてチームを引っ張っていました。安藤選手と入れ替わる形で加入することで、「新たな島根のエース」として注目されていると思いますが、どうとらえていますか。
間違いなく誓哉さんがいなかったら今の島根はないと思いますし、誓哉さんがもたらしたものはとてつもなく大きいと思っています。誓哉さんが中心となって作ってきた、負けたくない気持ちを全面に押し出して戦う島根のカルチャーは引き継いでいく必要があります。ただ、ゲームを見てもらったら分かると思いますが、今シーズンの島根はこれまでと違うスタイルのバスケットを展開します。そういう面で比較されることは気にしていないです。
ただ、「島根はリーグ上位」という目線で見てくださっているファンの皆さんも多いと思いますし、結果を残して、皆さんの期待に応えたいという意味でのプレッシャーはチーム全体が持っています。もちろん「誓哉さんのほうが良かったな」と言われるのは嫌なので、「岡田が来てよかった」と思われるプレーはしたいです。見ていて楽しいプレーができるのは自分の強みだし、外国籍ビッグマンとのピック&ロールは武器なので、そこは大事にしていきたいです。
──島根でも京都時代と変わらず、中心選手として活躍されると思います。ただ、チームのスタイルやメンバーが違うのでアジャストも必要だったかと思います。
昨シーズンは京都で恵まれた状況でプレーできていたと思います。古川孝敏選手、前田悟選手、川嶋勇人選手といった頼もしい先輩たちがたくさんいて、自分のプレーだけにフォーカスすることができました。自分から言わなくとも、スペーシングを取ってもらっていましたし、審判の判定にフラストレーションが溜まった時には落ち着かせてもらっていました。面倒を見てもらっていたおかげもあって、シーズンを通してハイパフォーマンスを維持しながらプレーできたと思います。
島根にも頼りになるベテラン選手はもちろんいますが、若手のほうが多いチームなので、次は自分がまわりを助けていく立場にならないといけない。自分だけでなく、まわりを成長させられるゲームメークをやらないといけないのは課題であり、大きなチャレンジだと思っています。
──岡田選手はすでにリーグ屈指の日本人スコアラーとして申し分ない実績を残しています。その中でもオフェンスに対して、特に意識しているポイントはありますか。
ターンオーバーを減らすのが大きな課題です。ハンドラーとしてプレーする時間が多くなればミスをするリスクも増えますが、もっと減らせると思います。3ポイントシュート、ミドルシュートの確率も上げられます。このオフは相手をドライブで抜いていくためのスキルにフォーカスして練習していました。これまでの自分にはなかったスキルはまだまだあると気づいて、新たなスキルの習得にのめり込んでいました。
──千葉ジェッツの原修太選手が、SNSで投稿された岡田選手の得点シーンに『Bリーグでいちばんバスケうまい』と反応していました。ご覧になりましたか?
原さんはベストディフェンダー賞を取っている選手で、ディフェンスに定評のある選手に評価されることはよりうれしいです。自分はオフェンスに全振りという言い方はおかしいですけど、オフェンスにプライドを持っているので、モチベーションは上がりました。「もっとうまくなろう」と刺激をもらえた投稿でしたし、シーズン中に原さんとマッチアップするのが楽しみです。