1年を通してサポートしてくれたスタッフへの『感謝の印』
トレイルブレイザーズのデイミアン・リラードは、現代のNBA選手としては珍しいほどのチーム愛を持つ選手として知られている。チームから放出される以外にブレイザーズを離れる意志はなく、Twitterフォロワーとのやり取りでも「優勝のために移籍はしない」と断言した。
そのリラードがリーダーを務めるブレイザーズは、ウォリアーズとの西カンファレンス1回戦に敗れてシーズンを終えたが、リーダーがまたも男気を見せた。
『CSN Northwest』によれば、ブレイザーズの選手たちはプレーオフボーナス全額をチームのマッサージ・セラピスト、練習施設で働くトレーナーらスタッフ25名に贈与したという。
NBAでは、プレーオフに進出した東西16チームにボーナスが支給される。今シーズンのボーナス額は1チームあたり22万3864ドル(約2500万円)で、それをブレイザーズのロスターに登録された15名で割ると、一人あたり1万5000ドル(約170万円)程度になる計算。
それでもリラードはシーズン終了後『CSN Northwest』に「プレーオフボーナスは、僕らの近くで働いてくれているスタッフにプレゼントすることに決めたんだ。彼らは、自分たち選手と同じくらい家族と離れる生活を送っている。俺たちと同じくらい生活の大半をチームのために費やしてくれている」と話した。
「スタッフの皆の努力のおかげで、気楽にやれている。ただ、それで彼らの生活が苦しくなることもあるだろう。僕たちと比べたら報酬額はあまりにも低い。だから、これは感謝の気持ちを示す方法だよ」
『CSN Northwest』によれば、リラードがチームスタッフにボーナスを分け与えた背景には、あるベテランとの関係がある。3年前にブレイザーズに加入した元ドイツ代表のクリス・ケイマンは、当時2年目だったリラードと意気投合し、公私ともに仲の良い友人関係を築いた。ケイマンは、当時のブレイザーズの選手たちがプレーオフボーナスを自分の懐に収める姿に落胆。いずれチームを背負って立つ存在のリラードに、スタッフを含めた『チーム』を大事にする重要性を説いた。その上で、チームリーダーとなった時には、チームメート全員が快くボーナスをスタッフに進呈する環境を作るように話したという。
それから数年が経ち、自他ともに認めるブレイザーズのリーダーとなったリラードは、選手全員にこの考えに従うよう話し、最後はチーム内の投票で決定した。
リラードは、ステフィン・カリー、レブロン・ジェームズ、ケビン・デュラント、ラッセル・ウェストブルックらスーパースター選手の陰に隠れる存在で、NBAトップ選手が出場するオリンピック、世界選手権のメンバーには、最も競争が激しいガードというポジションの性質もあってたびたび落選している。だが、NBAの顔でもある上記選手たちと遜色ない実力の持ち主だ。
チームスタッフを大事にし、地元愛の強いリラードこそ、あらゆるプロチームスポーツが見習うべき模範的なリーダーではないだろうか。
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— Trail Blazers (@trailblazers) 2017年5月3日