ジョーダンとレナードを比較した発言が問題に
NBAは、クリッパーズ指揮官のドック・リバースが、ラプターズのカワイ・レナードについて発言した内容がタンパリング(不正干渉)ルールの規定に抵触したとして、同球団に5万ドル(約540万円)の罰金処分を科した。
『ESPN』の番組に出演したリバースのコメントで問題視された部分は、レナードとマイケル・ジョーダンを比較した部分。彼は「これまでに見た選手の中で、レナードがジョーダンに最も似ている」と話しただけだったが、リーグはこの発言を見逃さなかった。
NBAコミッショナーのアダム・シルバーは、クリッパーズに対する処分について、次のようにコメントしている。
「罰金を科すのは楽しい仕事ではない。メディアが現役NBA選手についてコーチの意見に関心を持っていることも理解している。しかし、このリーグには明確なルールが存在する。そして、今回のような行為は認められていない。コーチ、それからチーム上層部ならば、『そのような質問に答える許可をリーグから得られていない』と答える必要がある」
このオフにフリーエージェントになる大物選手とマックス契約を結べるだけの空きをサラリーキャップに作ったクリッパーズは、以前からレナードをターゲットにしていると噂されてきた。実際、クリッパーズのフロントもトロントにまで足を運んでレナードのプレーを見ている。最近では、ミルウォーキーでの東カンファレンス・ファイナルでもクリッパーズのフロントの姿が確認されるなど、クリッパーズがレナードとの契約を考えているのは明らかだ。
昨年の夏にスパーズからラプターズにトレードされたレナードは、チームのシステムにフィットし、球団史上初のNBAファイナル進出の原動力となった。昨シーズンは、ケガの治療に関する対応を巡ってスパーズと対立したこともあり評価を下げたが、今回のプレーオフであらためてリーグトップクラスの実力を示し、選手としての価値が日に日に高騰している。
『LA Times』によれば、レナードの残留を願うトロントでは、すでに各業界が行動を開始。市内のレストランとバーは、彼に無料で食事を提供するオファーを出し、高級なコンドミニアムを扱う不動産業者は、もし残留すればペントハウスを無償で提供するという。クリッパーズにエースを渡したくないトロントのファンによる『レナード残留キャンペーン』は、ファイナルの熱気とともに今後もエスカレートするに違いない。もっとも、ウォリアーズとのNBAファイナルを戦うレナード本人に、次の契約先を考える余裕はないだろう。